2002 Fiscal Year Annual Research Report
敗血症性ショックにおける心室筋G蛋白の転写調節の解明と遺伝子治療
Project/Area Number |
13671558
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
松田 直之 北海道大学, 医学部附属病院, 助手 (50332466)
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Keywords | 敗血症 / ショック / G蛋白 / NF-KB / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
敗血症では心室筋のGs蛋白が転写段階で減少することで、アドレナリンβ受容体を介した陽性変力作用が減弱する。Gs蛋白が減少する転写調節機構を敗血症病態モデルの遺伝子治療で解明することを目標とした。 ウサギに100μg/kgのリポポリサッカライドを静脈内投与したモデルの心室筋ではTNF-α、IL-1βが早期に上昇したが、これらの抗体を静脈内に前投与しても、ショックやGs蛋白の減少を抑制できなかった。DNA上のNF-kB領域を選択的に遮断するオリゴヌクレオチド(NF-k B ON)20塩基対(5'-CCTTGAAGGGATTTCCCTCC-3',3'-GGAACTTCCCTAAAGGGAGG-5')を作成し、アデノウイルスベクターやリボゾーム法で経静脈的に遺伝子導入したが、導入効率は肺や心房筋で高いものの、心室筋ではその約1/10に過ぎなかった。このNF-k B ONを導入した敗血症心室筋ではGs蛋白減少に有意な抑制をかけることができず,導入効率の低さによると評価した。そこで遺伝子導入効率の高かった心房筋を選択し、Gs蛋白の量的変化を検討した結果、敗血症心房筋で約45%に減少することが確認でき、NF-k B ONで65%程度までに回復させることができた。 本研究過程で、敗血症心房筋でヒスタミンH_1受容体やヒスタミン合成酵素が増加しているものの、Gs蛋白の減少により、ヒスタミンを介した心房筋の陽性変時作用が敗血症で減じることを見いだした。NF-kBの活性化が部分的ではあるがGsタンパク減少に関与することを見いだした研究成果となった。
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[Publications] Matsuda N et al.: "Hemodynamic significance of histamine synthesis and Histamine H_1-and H_2 receptor gene expression during endotaxemia"Naunyn-Schmiedeberg's Archives of pharmacology. 366. 513-521 (2002)
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[Publications] 松田直之: "心筋細胞におけるGTP結合蛋白質の循環制御機構"循環制御. 23. 171-179 (2002)