2001 Fiscal Year Annual Research Report
高頻度脳波(600Hz)の臨床麻酔への応用に関する研究
Project/Area Number |
13671568
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
山本 健 金沢大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (60135085)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坪川 恒久 金沢大学, 医学部・附属病院, 助手 (80283109)
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Keywords | 高頻度脳波 / 短潜時体性感覚誘発電位 / プロポフォール / セボフルラン / イソフルラン |
Research Abstract |
平成13年度は,まずラットを用いて高頻度脳波(High Frequency Sensory Evoked Potential : hf-SEP)の基礎的実験をおこなった.その結果,高頻度(600Hz)の自発脳波は,非常に電位が小さいため,われわれの実験室および手術室では測定が困難であることが判明した.しかし,同時に検討した短潜時体性感覚誘発電位(Short Sensory Evoked Potential ; SSEP)は,そのような環境でも測定可能であること,また研究の目的である"痛みの定量"に有望である印象を受けことから,研究の対象をSSEPとして継続してきた.基礎的実験としては,現在までにラットの大脳感覚野での観測に適した部位の同定(マッピング)と刺激方法の検討を終えた.その結果,ラットでは個体差を減少させ,ほぼ同一の波形を記録することが可能となった.また,知覚野に投影される神経(Aβ, Aδ, C-fiber)の閾値の違いを利用した研究により,最も早期に誘発される活動波はAβ-線維を上行する刺激によるものであることが明らかとなった.現在,静脈麻酔薬プロポフォールと吸入麻酔薬セボフルラン,イソフルランの投与下での濃度依存性の波形の変化について研究をすすめている.現在までのところプロポフォールの濃度を増加させてもSSEPの潜時および波高はほとんど変化しないこと,それに対して吸入麻酔薬では濃度依存性にSSEPの潜時を延長し,波高を減少させることがわかってきた.プロポフォールには鎮痛作用は全くないのに対して,吸入麻酔薬には鎮痛作用がある.この鎮痛作用の有無の差がSSEPに与える影響を調べるため,今後はオピオイド投与がSSEPに与える影響を調べる予定である.以上の研究結果から,SSEPの波形変化によって鎮痛を評価することが可能であるかどうかを検討したい.
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