2003 Fiscal Year Annual Research Report
神経原性肺水腫における中枢神経系の病態解明(迷走神経と一酸化窒素(NO)の役割)
Project/Area Number |
13671571
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西脇 公俊 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (10189326)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 直久 愛知医科大学, 医学部, 教授 (80109321)
|
Keywords | 肺水腫 / 神経原性肺水腫 / ラットフィブリン肺水腫 / 迷走神経 / 一酸化窒素(NO) / NMDA受容体 / neuropeptide Y(NPY) / neuropeptide Y-Y3受容体 |
Research Abstract |
1.L-glutamete(L-Glu)はNMDA受容体を解して神経終末からNO放出を促進させるとの報告があり、神経原性肺水腫におけるL-Gluの脳室内投与による中枢神経系でのNOの役割を検討した。 (1)左迷走神経切断2週間後の同側孤束核にのみNMDAR1の表出あり、L-Gluの還流液中のNO量は容量依存性に増加。 (2)L-Gluの脳室内投与は、神経原性肺水腫モデルのラットフィブリン肺水腫の発生率と肺水分量を有意に減少。 (3)L-Gluの上記効果はL-NAMEとMKO-801でブロックされたが、D-NAMEではブロックされなかった。 (4)以上より、L-Glu脳室内投与はNMDA受容体を介してNOの合成を促進し神経原性肺水腫発生を抑制し得ることが判明した。 2.我々はこれまでに、ラット肺還流標本を用いたin-vivoの実験でneuropeptide Y(NPY)がNPY-Y3受容体を介して肺血管透過性を亢進させることを明らかにした。そこで、肺ではないがすでに確立しているラット大動脈内皮細胞(RAEC) monolayerに対してNPYを直接的に2時間作用させ、FITCラベルのアルブミンを指標として透過性に対する影響を、normoxiaとhypoxiaの状態で検討した。 (1)hypoxia状態でNPYは用量依存性にRAECmonolayerの透過性を亢進させ、これらの変化はnormoxiaでは見られなかった。 (2)NPYの各受容体のagonistであるPYY,(Leu^<31>,Pro^<34>)-neuropeptideY-(13-36), neuropeptideY-(13-36)の影響,BIBP3226(NPY Y1 antagonist)の前投与の影響を検討し、hypoxia状態におけるNPYの透過性亢進作用にはNPY-Y3受容体が関与していることが明らかとなった。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] 南 勇善: "Neuropeptide Yの大動脈内皮細胞monolayer透過性に対する影響-hypoxiaとnormoxiaとの比較"Journal of Anesthesia. Vol.17S. 415 (2003)
-
[Publications] 近藤 博子: "フィブリン肺水腫モデルを用いたラット神経原性肺水腫におけるL-glutamate脳室内投与の影響"日本集中治療医学会雑誌. Vol.11S. 203 (2004)
-
[Publications] 西脇 公俊: "ARDSのすべて-神経原性肺水腫と神経性血管透過性亢進"別冊・医学のあゆみ. (in press).
-
[Publications] 西脇 公俊(分担執筆): "SIRSの病態と治療 IALI/ARDS(VII特殊なALI/ARDS 2.神経原性肺水腫)"医薬ジャーナル社(相川直樹 監修、藤島清太郎 編集). 259(6) (2004)