2002 Fiscal Year Annual Research Report
長期マグネシウム投与は筋組織および筋弛緩薬の作用に影響を及ぼす
Project/Area Number |
13671572
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐藤 光晴 名古屋大学, 医学部・附属病院, 助手 (10235343)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西脇 公俊 名古屋大学, 医学部・附属病院, 講師 (10189326)
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Keywords | マグネシウム / 筋弛緩薬 / サクシニルコリン / アセチルコリン受容体 |
Research Abstract |
1.臨床研究 昨年度に引き続き、術前の長期マグネシウム投与患者に対するサクシニルコリン(Sch)投与の危険性と、非脱分極性筋弛緩薬の安全な投与法の検討を行った。Mg長期群、Mg短期群、β作動薬群ではSch投与後に血清K値の有意な上昇が見られた。ケタミンとベクロニウム(Vb)を用いた麻酔導入では、高K血症は見られなかった。また、Vbの作用持続時間と血中Mg^<2+>濃度との間には、正の相関関係が見られた。 2.動物実験 ラットを用い、最初に血中Mg^<2+>濃度の正常値と、正常の2倍、3倍の血中Mg^<2+>濃度をもたらす硫酸Mgの投与量を求める。Mgは、あらかじめ皮下もしくは腹腔内に埋め込んでおいた持続注入ポンプからの持続投与とし、生理食塩水、正常の2倍のMg^<2+>濃度をもたらす硫酸Mg溶液、3倍となる溶液の持続投与を2週間行い、その後これらのラットでSch投与前後での血清電解質濃度の変化を検討し、ラットにおいてもSch投与後の高K血症が確認されたならば、さらに同様の実験系において、Mg持続投与後の神経筋接合部および筋組織自体の変化を組織学的に検討する計画であった。 ラットにおけるMg^<2+>濃度の正常値は0.48±0.02mmol/Lであった。その後、種々の濃度の硫酸Mg溶液にて、正常の2倍となるMg^<2+>濃度のラットモデルを作成しようと試みたが不可能であった。今回用いた埋め込み式持続注入ポンプでは投与量が不足していたと考えられた。その後他のMg化合物を用いてみたが、やはり目標とする血中濃度に安定的に到達できる方法は見出せなかった。体外からの注入ポンプでは、ラットを拘束せざるを得ないが、体動の制限自体がアセチルコリン受容体のアップレギュレイションをきたすことから、体外式の注入ポンプも不適当と考えられるため、高Mg血症ラットの作成には、何らかの更なる工夫が必要と考えられた。今後も、同モデルの作成を、継続的に試みる予定である。
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