2002 Fiscal Year Annual Research Report
種々の血管内皮機能低下病態における各種麻酔薬の抵抗血管平滑筋や血管内皮に対する直接作用とその機序に関する研究-3大成人病モデル動物ならびに高齢動物における検討-
Project/Area Number |
13671590
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
赤田 隆 九州大学, 医学部附属病院, 講師 (10260382)
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Keywords | 血管平滑筋 / 血管内皮 / 揮発性吸入麻酔薬 / 静脈麻酔薬 / ハロタン / イソフルラン / セボフルラン / 腸間膜抵抗血管 |
Research Abstract |
平成14年度も、平成13年度に引き続いて、等尺性張力-細胞内Ca^<2+>濃度同時測定装置を利用して、主に、疾患モデル(高血圧、糖尿病、高脂血症)ラット群の対照群となる健康ラット群において、実験を行った。ハロゲン化炭化水素型揮発性吸入麻酔薬であるイソフルランやハロタンが、臨床関連濃度で、健康ラットの腸間膜抵抗血管に及ぼす作用を血管内皮存在下あるいは非存在下に検討した。結果、これらの吸入麻酔薬は、生体内において血管トーヌスの維持に重要な役割を果たす交感神経系の伝達物質であるノルエピネフリンに対する収縮反応を内皮依存性に増強し、内皮非依存性に抑制することが明らかとなった。また、生体内において血管トーヌスの調節に重要な役割を果たしている血管内皮の機能の指標である内皮依存性弛緩反応を抑制することも示された。さらには、同様に生体内において血管トーヌスの調節に重要な役割を果たしている膜電位依存性Ca^<2+>チャネルの活性化を反映するKCl収縮反応を、内皮存在下ならびに非存在下で抑制することが明らかとなった。内皮依存性ノルエピネフリン収縮反応増強作用の機序を、様々な受容体拮抗薬や酵素阻害薬を用いて検討したが、現段階では、解明できていない。一方、内皮非依存性ノルエピネフリン収縮反応抑制作用は、Ca^<2+>活性化Cl^-チャネルの遷延性の抑制に起因する可能性が示された。また、内皮細胞Ca^<2+>動員機構に及ぼす効果を選択的に検討するために、Fura-2蛍光法を用いて、肺動脈弁内皮細胞内Ca^<2+>濃度変化に及ぼす上記麻酔薬の効果を検討したが、いずれの麻酔薬も内皮細胞内Ca^<2+>濃度の上昇を引き起こし、内皮依存性に血管平滑筋に有意な作用を発揮する可能性が示唆された。健康ラット群における実験はほぼ終了しつつあり、本年度末より来年度へ向けては、高血圧ラットや高齢ラットを用いた実験を本格化させる計画である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kanna T, Akata T, Izumi K et al.: "Sevoflurane and bradykinin-induced calcium mobilization in pulmonary arterial valvular endothelial cells in situ"Journal of Cardiovascular Pharmacology. 40・5. 714-724 (2002)
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[Publications] Akata T, Kanna T, Takahashi S: "Mechanisms of direct inhibitory action of isoflurane on isolated resistance arteries"Journal of Anesthesia. 16・Suppl. 177 (2002)
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[Publications] Yoshino J, Izumi K, Akata T, Takahashi S.: "Direct action of halothane on rat mesenteric arteries"Japanese Journal of Pharmacology. 91・Suppl(in press). (2003)
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[Publications] Akata T, Kanna T, Yoshino J, Takahashi S: "Mechanisms of direct inhibitory action of isoflurane vascular smooth muscle of rat small mesenteric arteries"Japanese Journal of Pharmacology. 91・Suppl(in press). (2003)
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[Publications] Yoshino J, Izumi K, Akata T, Takahashi S.: "Mechanisms of the endothelium-dependent enhancing action of halothane on contractile response to norepinephrine"Journal of Anesthesia. 17・Suppl(in press). (2003)
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[Publications] Akata T, Kanna T, Yoshino J, Takahashi S: "Mechanisms of direct inhibitory action of isoflurane on isolated resistance arteries. -2^<nd> report-"Journal of Anesthesia. 17・Suppl(in press). (2003)