2004 Fiscal Year Annual Research Report
種々の血管内皮機能低下病態における各種麻酔薬の抵抗血管平滑筋や血管内皮に対する直接作用とその機序に関する研究
Project/Area Number |
13671590
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
赤田 隆 九州大学, 大学病院(医系), 講師 (10260382)
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Keywords | 血管平滑筋 / 血管内皮 / 揮発性吸入麻酔薬 / イソフルラン / セボフルラン / ハロタン / エトミデート / 腸間膜抵抗血管 |
Research Abstract |
平成16年度は、主に、等尺性張力測定装置を利用して、高血圧ラット、糖尿病ラット、高齢ラット、健康ラットにおいて、現在、頻用されているハロゲン化炭化水素型揮発性吸入麻酔薬、イソフルランとセボフルランが、臨床関連濃度で、腸間膜抵抗血管に及ぼす作用とその機序を、血管内皮存在下あるいは非存在下に検討、比較した。また、種々の薬理学的な阻害薬を用いて、その作用機序を検討した。結果、高血圧ラット、高齢ラット、糖尿病ラットでは、血管内皮機能低下に伴い、交感神経系伝達物質ノレエピネフリンに対する収縮反応が亢進する一方、副交感神経伝達物質アセチルコリンに対する内皮依存性弛緩反応が減弱していることが明らかとなった。これらは、高血圧患者、高齢患者、糖尿病患者では、周術期の軽度の交感神経刺激に伴い高度の高血圧が出現しやすい臨床的事実を説明すると思われた。また、若年健康ラットにおいて観察される両麻酔薬の内皮依存性ノルエピネフリン収縮反応増強作用が、高血圧ラット、高齢ラット、糖尿病ラットにおいては減弱していることが明らかとなった。すなわち、両麻酔薬は、高血圧患者、高齢患者、糖尿病患者では、若年健康成人と比較して、全身抵抗血管に対してより強い血管拡張作用を発揮し、より高度の低血圧(最重要臓器潅流圧低下)を引き起こす可能性が明らかとなった。また、両麻酔薬の作用は、これまでの一般的な認識に反して、遷延性であり、必ずしも調節性に富まない可能性が明らかとなった。すなわち、麻酔薬投与中止後も循環抑制が遷延する可能性を考慮して、注意深く患者を観察することの重要性が示唆された。内皮依存性ノルエピネフリン収縮反応増強作用の機序に関して、今日まで報告されてきたほぼ全ての内皮由来血管作動物質の関与について検討したが、解明できなかった。未知の内皮依存性血管作働性物質の関与も否定できず、今後の重要な研究課題と考えられた。(796字)
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Research Products
(13 results)