2002 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白結合部位置換現象を利用した局所麻酔薬と鎮痛薬の効果増強の研究
Project/Area Number |
13671596
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Research Institution | 宮崎医科大学 |
Principal Investigator |
中村 禎志 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (60217859)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有森 和彦 宮崎医科大学, 医学部, 教授 (70253739)
宇野 武司 宮崎医科大学, 医学部, 助教授 (70038842)
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Keywords | 消炎鎮痛薬 / 血清蛋白 / フルルビプロフェン / 血清アルブミン / サイトII / ナブメトン / ジクロフェナ / 慢性関節リウマチ |
Research Abstract |
これまで,臨床使用されている消炎鎮痛薬の血清蛋白結合について、in vitro、in vivoで、結合する蛋白の種類及びそれぞれの蛋白における結合サイトの同定を試み、さらに、臨床応用として、慢性関節リウマチ患者への消炎鎮痛薬の効果的な投与法を検討した。 対象とした薬物は、それぞれ投与経路の違うものを使用頻度の高いものから選び、検討した。消炎鎮痛薬の中でも、フルルビプロフェン、ナブメトン、ジクロフェナクはヒト血清アルブミン(HSA)のサイトIIに強く結合し、また、これらの薬剤はその他の血清蛋白であるα1-酸性糖蛋白質(AGP)及びγ-イムノグロブリンG(γ-IgG)には、ほとんど結合しないことがわかった。この3種類の薬物はHSAのサイトIIに結合するものによって結合阻害を受けやすく、組織移行性は結合阻害によって大きく変化した。これら3剤は、それぞれ、経静脈、経口、坐剤として使用されている。このうち、投与経路の簡単なナブメトンとジクロフェナクを用いて臨床効果を検討した。 疼痛軽減のためにジクロフェナク坐剤を投与されていた慢性関節リウマチ患者に、ナブメトンを併用すると、ジクロフェナクの蛋白結合が阻害され、ジクロフェナク単剤よりも一定期間の投与量や使用頻度を減らすことができた。それぞれの作用機序には若干の違いはあるが、アイソボログラフによって解析すると、この効果は、単なるナブメトンとジクロフェナクの併用による相加効果以上のものである。また、ジクロフェナクの一日投与量をこれまでの使用量の半分以下にしても、痛みのフェーススケールは変化せず、効果は不変であった。臨床効果をそこなうことなく投与量を減らし、副作用を軽減できるのではないかと考える。
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