2002 Fiscal Year Annual Research Report
麻酔薬の各種悪性腫瘍細胞に対するアポトーシス誘導活性
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13671609
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
長坂 浩 明海大学, 歯学部, 教授 (10189110)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂上 宏 明海大学, 歯学部, 教授 (50138484)
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Keywords | アポトーシス / モルフィネ / コデイノン |
Research Abstract |
コデイノンおよびモルフィネのアポトーシス誘導活性 [目的]:モルヒネやその関連化合物は、がん性疼痛に臨床的に使われており、最近その代謝産物の一つであるモルヒネ6-グルクロナイドの消化器系がん細胞アポトーシス誘導が報告された。我々も、モルヒネ関連化合物12種類の構造活性相関を検討した結果、コデインの酸化生成物であるコデイノンに、ヒト前骨髄性白血病HL-60細胞におけるヌクレオソーム単位のDNA断片化誘導活性を見出した(河瀬ら、Anticancer Res 22 : in press, 2002)。今回モルフィネおよびコデイノンのアポトーシス誘導活性について更に詳細に検討した。 [方法]:生細胞数はトリパンブルー染色により、DNAの断片化はDAPI法により、アポトーシス細胞の出現はアネキシン染色(FACS)により、プロカスパーゼの切断(活性化)及びミトコンドリアからのシトクロームcの放出はWestern blotにより、ミトコンドリアのMnSODの活性はNBT/リボフラビン活性染色により、MnSOD mRNAの発現はRT-PCRにより測定した。 [結果]:コデイノンは、濃度依存的に、細胞障害活性、アネキシン陽性細胞の出現、DNAの断片化、プロカスパーゼの切断、シトクロームcの放出を誘導した。この活性は、コデインやモルヒネ6-グルクロナイドよりも強かった。コデイノンの活性は、抗酸化剤のN-acetyl-cysteineにより(ミカエル付加反応により)強く抑制したが、MnSODの活性・発現には有意な影響を与えなかった。モルフィネは、HL-60細胞のMnSODの活性・発現を促進したが、肺ガン細胞や乳ガン細胞のMnSODの滴生・発現を抑制した。 [結論]オピオイドは、鎮痛作用も有することから、そのアポトーシス誘導活性と合わせて、末期がん患者への適用が期待される。しかし、そのメカニズムは、コデイノンやモルフィネで異なる。また、モルフィネは、ガン細胞の種類によってもアポトーシス誘導活性のメカニズムが異なることがわかった。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Hori K, Nagasaka H.: "Effect of fentanyl on cardiovascular and plasma catecholamine responses in surgical patients"J. Anesthesia. 16. 187-193 (2002)
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[Publications] Hatsukari I et al.: "Partial purification of cytotoxic substances from moxa extract"Anticancer Res. 22. 159-162 (2002)
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[Publications] Nakamura S et al.: "Flumazenil antagonizes respiratory depression caused by diazepam and induced expiratory excitation"Masui. 51. 1107-1110 (2002)
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[Publications] Hitosugi N et al.: "Comparative analysis of apoptosis-inducing activity of codein and codeinone"Anesthesiology. 93. 643-650 (2003)
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[Publications] Hatsukari I et al.: "Induction of early apoptosis marker by morphine in human lung and breast carcinoma cell lines"Anticancer Res. 23(3). (2003)
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[Publications] Hitosugi N et al.: "Analysis of Apoptosis signaling pathway in human cancer cell lines by codeinone"Anticancer Res. 23(3). (2003)
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[Publications] 長坂浩 他: "麻酔・生体管理学"学建書院. 206 (2003)