2002 Fiscal Year Annual Research Report
CRFの鎮痛作用の解明-ノックアウトマウスを用いた解析-
Project/Area Number |
13671619
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
今城 俊浩 日本医科大学, 老人病研究所, 助教授 (50183190)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮田 麻理子 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助教授 (70281631)
坂本 篤裕 日本医科大学, 医学部, 助教授 (30196084)
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Keywords | Corticotropin-releasing factor / ストレス性鎮痛作用 / 急性疼痛 / ノックアウトマウス / 副腎皮質ホルモン / 疼痛域値 |
Research Abstract |
1.Formalin投与後の下垂体-副腎系の反応 CRFKOマウスでは、CRFの分泌欠損によりACTH-副腎皮質ホルモンの分泌が低下していることが予想される。野生型マウスではFormalin注射後血中ACTH、コルチコステロンは著明に増加した(ACTH:83.3±19.5pg/ml→381.7±66.4pg/ml,;コルチコステロン:12.5±6.0ng/ml→137.6±12.8ng/ml)。一方、CRFKOマウスでは、血中ACTH、コルチコステロン共に有意な上昇は見られなかった(ACTH:108.8±24.1pg/ml→141.5±18.9pg/ml;コルチコステロン:6.0±0.7mg/ml→12.5±2.7ngml)。従って、昨年度に報告したように、CRFKOマウスで見られたFormalin注射後の疼痛閾値の上昇には、副腎皮質ホルモンの分泌欠損が関与している可能性が考えられた。現在、野生型とCRFKOマウスに副腎摘徐を行い、疼痛閾値を検討中である。 2.慢性疼痛刺激に対する反応 神経損傷に伴う神経因性疼痛のモデルとして、坐骨神経結紮による慢性疼痛の実験を行った。マウスで行うのは手技的に困難であったことから、Wistar系雄ラットを用いて予備実験を行った。Selzerらの方法によりラットの右坐骨神経の1/2から1/3を結紮し、疼痛閾値をRandall-Selitto法で解析した。疼痛閾値は偽手術群に比べ神経結紮群で14日目より有意に低下し、28日まで持続した。血中ACTH、コルチコステロンには差は認められなかったが、急性ストレス後の増加反応は結紮群で偽手術群に比べ有意に増加していた。また、視床下部CRF mRNA及びCRF様免疫活性が結紮群で増加していた。従って、慢性疼痛ではCRF-下垂体一副腎系の反応亢進がみられ、それが疼痛閾値の低下(痛覚過敏)に関連している可能性が考えられた。このことを証明するため、現在CRFKOマウスを用いて同様の実験を行っている。
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