2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13671638
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
堀江 重郎 杏林大学, 医学部, 助教授 (40190243)
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Keywords | ADPKD / Pkd1 / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
常染色体侵性遺伝嚢胞腎(ADPKD)は腎嚢胞に加え、肝嚢胞、動脈瘤、心弁膜異常、大腸憩室、高血圧など多臓器に病変が出現する。また血管内皮機能異常も指摘されている。ADPKD症例の85%はPKD1の異常により発症することがあきらかになっている。PKD1遺伝子産物polycystin1の機能を解析するために、われわれはマウスPkd1遺伝子を129/svマウスゲノムDNAライブラリーよりクローニングし、エクソン2_<-σ>を欠失するターゲッティングベクターを作成、ES細胞に導入、選択し、キメラマウスを作成した。キメラマウスの交配により得られた遺伝子ホモ欠損マウスは心臓の総動脈管形成異常および腎嚢胞の形成を認め、著しい浮腫、出血、羊水過多を生じ、胎生致死であった。心臓ではc-MYC, beta-cateninの蛋白量の低下が見られ、心臓神経堤細胞機能にpolycystin1がWnt情報伝達系を介し関与していることが示唆された。腎においては、嚢胞は成熟尿細管に発生し、それに伴いE-cadherin, PECAM-1の細胞膜局在異常と蛋白量の低下が見られた。またチロシンリン酸化受容体に関与する分子であるGab1の恒常的なチロシンリン酸化の亢進が生じていた。ヘテロマウスでは血管内皮機能異常が30週齢から見られNOx産生量が低下していた。以上の結果からPKD1は発生においては標的臓器においてWntおよびadherens junsctionの形成に関与し、またヘテロ欠失は動脈の脆弱性に関与することが示唆された。Pkd1ノックアウトマウスはADPKDの病態の解析と治療創薬に重要なモデルであることが認識された。
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Research Products
(1 results)