2001 Fiscal Year Annual Research Report
ホルモン不応性ヒト前立腺癌に対するチロシンキナーゼを用いた新治療法の基礎的研究
Project/Area Number |
13671654
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
松原 昭郎 広島大学, 医学部・附属病院, 講師 (10239064)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安本 博晃 広島大学, 医学部, 助手 (20314750)
牟田口 和昭 広島大学, 医学部・附属病院, 医員
|
Keywords | FGFR2IIIb / ヒト前立腺癌 / ラクトフェリン / サイトケラチン / 増殖抑制 / 分化誘導 |
Research Abstract |
ヒト前立腺癌樹立細胞株へのwild-type FGFR2111b遺伝子導入と遺伝子発現安定株の獲得、ならびにFGFR2111b安定発現株の生物学的特性の評価 ヒト前立腺癌樹立細胞株PC-3にwild-type FGFRIIIbを導入、得られたFGFR2IIIb安定発現株は、in vitro においてcontro と比較して有意に培殖が抑制されており、ligandであるFGF-7添加によってさらに増殖抑制効果が認められた。また、ヌードマウスを用いた造腫瘍能の検討でもcontrolと比較し有意に造腫瘍能は低下していたことから、FGFR2IIIbはヒト前立腺癌細胞に対して増殖抑制効果を示すことが明確になったと考えられる。 FGFR2IIIb安定発現株の細胞の形態についてみると、controlやparentでみられていた紡錘形の形態や長く伸びた樹枝状の形態が弱まり、正常前立腺細胞の特徴である敷石状の形態を示した。また、ヒト前立腺癌組織の分化度との関連性が示されているラクトフェリンの発現を検討したところ、FGFR2IIIb安定発現株は対象に比較して発現が増加していた.さらに、分化の指標であるサイトケラチンの産生についてもFGFR2IIIb安定発現株ではcontrolに比較して有意に発現が増加していた。このようにFGFR2IIIbはヒト前立腺癌樹立細胞株に対して分化を誘導することが示唆された。 現在、以上のようなFGFR2IIIbによる増殖抑制、分化誘導の分子生物学的機構を追究している。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] 安本博晃, 松原昭郎, 牟田口和昭, 亭島淳, 神谷研二, 碓井亞: "線維芽細胞成長因子受容体2(FGFR2IIIb)の発現回復によるヒト前立腺癌細胞の増殖抑制"日本泌尿器科学会雑誌. 92・2. 269 (2001)
-
[Publications] 安本博晃, 松原昭郎, 亭島淳, 牟田口和昭, 碓井亞: "ヒト前立腺癌細胞株における線維芽細胞成長因子7(KGF)とアンドロゲン受容体(AR)のストロークに関する基礎的検討"ホルモンと臨床. 49・冬季増刊号. 180-183 (2001)