2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13671660
|
Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
伊藤 直樹 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (60193504)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
舛森 直哉 札幌医科大学, 医学部, 講師 (20295356)
塚本 泰司 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50112454)
|
Keywords | 前立腺 / 炎症細胞 / ケモカイン |
Research Abstract |
本年度の研究実施計画に基づき、前立腺における炎症惹起のメカニズムと抗菌薬がもたらす抗炎症作用について検討した。感染モデルとして、ヒト前立腺癌培養細胞である、PC-3細胞を用いMycoplasma hominisを培養上清中に0,0.1,1,10μg/mlとなるように添加し、培養上清のIL-8をELISA法で測定したところ、IL-8の値は2.7,27,41,74μg/mlとMycoplasma hominisの濃度依存性に上昇した。RT-PCR法によりPC-3におけるToll like receptor-2とToll like receptor-4のmRNAの発現を確認した。同様の濃度でMycoplasma hominisを培養上清中に添加し、NF-κBの活性をreporter gene assayにて測定したところ、Mycoplasma hominisの濃度依存性にNF-κB活性は上昇した。これらのことから、前立腺細胞においてもToll-like receptorが発現しており、このreceptorからのシグナルがNF-κBを介して伝達され、IL-8が産生されることがあきらかとなった。 次にキノロン系抗菌薬であるgatifloxacin(GFLX)を培養上清中に添加し、IL-8の濃度を測定したところ、IL-8の産生量はGFLXの濃度依存性に低下した(GFLX:0,2416μg/mlに対しIL-8:8.9,8.8,8.1,7.2μg/ml)。そこでGFLXがIL-8産生のどの過程において抑制をかけているかを検討したところ、GFLXはIL-8 mRNA転写において抑制効果を有していることがあきらかとなった。このことは臨床的にも意義深く、慢性前立腺炎における抗菌薬の効果が、その殺細菌性ばかりではなく、サイトカインの抑制効果によってももたらされている可能性が示唆された。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] 伊藤 直樹: "前立腺肥大症は増加しているか-疫学"臨床泌尿器科. 57. 27-30 (2003)
-
[Publications] Masumori N, Tsukamoto T, et al.: "Natural history of lower urinary tract symptoms in men-Result of a longitudinal community-"Urology. 61. 956-960 (2003)
-
[Publications] 塚本泰司, 舛森直哉, ほか: "前立腺疾患と疫学と自然史"日本医師会雑誌. 130. 112-117 (2003)
-
[Publications] Masumori N, Tanaka Y, Takahashi A, Itoh N, et al.: "Lower urinary tract symptoms of men seeking medical care-Comparison of symptoms found in the clinical setting and in a community study"Urology. 62. 266-272 (2003)