2002 Fiscal Year Annual Research Report
卵胞内でのアポトーシスシグナル伝達機構の解析による卵の質の評価
Project/Area Number |
13671692
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Research Institution | YAMAGATA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
中原 健次 山形大学, 医学部, 講師 (80250934)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 一広 山形大学, 医学部, 助手 (20292427)
大道 正英 山形大学, 医学部, 講師 (10283764)
倉智 博久 山形大学, 医学部, 教授 (40153366)
堤 誠司 山形大学, 医学部, 助手 (50323168)
田中 栄一 山形大学, 医学部, 助手 (20322000)
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Keywords | 卵の質 / 顆粒膜細胞 / アポトーシス / シグナル伝達 / 卵胞 |
Research Abstract |
卵胞の発育や月経周期と密接に関連する因子の中には、アポトーシス、テロメア・テロメラーゼ活性、酸化ストレスなどの因子が含まれる。自然周期の卵胞発育では顆粒膜細胞ではアポトーシスが起こり、多くの閉鎖卵胞と一個の卵胞発育が形成される。我々は、体外受精のような性腺刺激ホルモンを使用した卵胞発育周期においてもアポトーシスは起こり、体外受精の成績と密接な関連を持つこと、顆粒膜壁側細胞のアポトーシスの発現が低いことが、妊孕性に重要な因子であること、個々の卵胞においても、その中に含まれる卵の質・受精後の胚の質と顆粒膜細胞のアポトーシスが相関することを証明してきた。また、ヒト顆粒膜細胞でテロメラーゼ活性が存在し、顆粒膜細胞と卵丘顆粒膜細胞では、壁側顆粒膜細胞でテロメラーゼ活性の高値を認めた。このことにより、テロメラーゼ活性は生殖細胞の分裂能を反映する指標になりうることが判明した。 本研究では、加齢が顆粒膜細胞のアポトーシスを促進し、発育卵の数の減少ばかりでなく、卵の質をも劣化させていること、また、子宮内膜症では、顆粒膜細胞の細胞周期の割合が変異しておらず、これが子宮内膜症における卵の質の低下に関連があることを証明した。 それらのシグナルは細胞表面のFas抗原から代表的な過剰発現されたMAPキナーゼを介して伝達されるのみならず、p38が多様な働きを行っているのを確認した。p38のアイソフォームは。α、β、γおよびδの4種類があるが、顆粒膜細胞の群によっては、p38αの活性化ではアポトーシスを誘導し、p38βではむしろアポトーシスが減少するため、アイソフォームの違いによる多様性についても検討した。P38γおよびP38δの影響の検討では、アポトーシスについての一定の傾向はみられなかった。しかし、P38αとP38βではアポトーシスについて逆の傾向が見られたことから、p38βについては別な経路を活性化する可能性があることが示唆された。
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Research Products
(1 results)