2002 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト絨毛癌発生過程におけるゲノムインプリンティング機構の関与
Project/Area Number |
13671725
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
有馬 隆博 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (80253532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和氣 徳夫 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (50158606)
松田 貴雄 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (10304825)
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Keywords | ゲノムインプリンティング / HYMAI / ZAC遺伝子 / DNAメチル化 / 新生児一過性糖尿病 / 雄核発生胚 / 単為発生胚 / 胎盤 / 胞状奇胎 |
Research Abstract |
1.微小インプリントセンターに直接結合する蛋白質の同定:新規インプリント領域を制御する約1KbのCpG島をImprint control region(ICR)として同定した。Database上、SP1(メチル化非感受性)、E2F(メチル化感受性)等の転写因子を同定した。また、我々は、卵形成過程で、DNAメチル化を獲得するのは生後5日目からのマウス卵であることに着目し、生後5日目の未成熟の卵子と成熟卵子を胚移植し、単為発生胚を作製した。この胚の新規インプリント領域のインプリントは獲得していた。また、3日目の卵ではインプリントの獲得はみられず、DNAメチル化がICRを制御していることが推測された。現在、このICRを含むマウスを作製しており、このマウスの生後5日目の卵を用い、メチル化依存性の転写因子の同定をゲルシフト法で行う予定である。 2.絨毛癌化によるインプリント制御機構の解明:研究計画当初、絨毛癌を用いた研究を進める予定であったが、以下の理由により卵巣癌を研究モデルとした。新規インプリント領域に含まれるZACは癌抑制遺伝子として機能すること。この染色体領域は卵巣癌で片側アリルの欠失が38%と高頻度に認められること。別名LOT1(loss of transfromation)として単離され、卵巣のラット悪性上皮癌で発現消失することが報告されている。そこでZACが卵巣癌において癌抑制遺伝子として機能するかどうか検討した。ZACの発現が消失する細胞株3つを用い、ZACcDNA全長を含む発現ベクターを遺伝子導入した。その結果、5日目から7日目にかけて著明に細胞増殖が抑えられ、この結果は軟寒天培地でのコロニー形成でも調べられた。また、G1期停止及びアポトーシスを起こすことも確かめた。 さらに11種の卵巣癌細胞株でのZACの発現を調べた。すべての細胞株で発現の低下あるいは消失を認めた。また、塩基変異は認めなかった。しかし、ほとんどすべての細胞株で高メチル化を示し同様に卵巣癌組織30例を用いて解析したところ、ほぼ同様の結果が得られた。また、クロマチン構造の変化を、アセチル化ヒストンH3、H4抗体に結合するDMを用いてPCR法にて解析したところ、クロマチン構造の変化を示していることが判明した。この結果より、癌抑制遺伝子として機能するZACはDNAメチル化だけでなく、クロマチン構造の変化を伴い、その発現の制御を行い、不活化されていることが判明した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Kato K et al.: "Contribution of estrogen receptora (ERα) to oncogenic K-Ras-mediated NIH3T3 cell transformation and its implication for escape from senescence by modulating the p53 pathway"J. Biol. Chem. 277,13. 11217-11224 (2002)
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[Publications] Kato H et al.: "Growth-associated Gene Expression Profiles by Microarray Analysis of Trophoblast of Molar Pregnancies and Normal Villi"International Journal of Gynecological Pathology. 21,3. 255-260 (2002)
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[Publications] Drewell.RA et al.: "Novel conserved element upstream of the H19 gene are transcribed and act as mesoderm enhancers"Development. 129. 1205-1213 (2002)
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[Publications] Zhou Y et al.: "Identification of FOXC1 as a TGF-β1 responsive gene and its involvement in negative regulation of cell growth"Genomics. 80,5. 465-472 (2002)
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[Publications] 有馬隆博 他: "インプリントの破綻と腫瘍発生-DNAメチル化と腫瘍発生 ゲノムインプリンティング(4)"医学のあゆみ. 202,4. 231-235 (2002)
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[Publications] 有馬隆博: "新生児-過性糖尿病とゲノムインプリンテイング ゲノムインプリンテイングTOPICS"医学のあゆみ. 202,4. 252-254 (2002)
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[Publications] 有馬隆博 他: "新女性医学大系(中山書店)29"胎児の成長・発達-胎盤の発生(ゲノムインプリンティングの役割). 345 (2002)