日本人、中国人卵巣癌組織Heterogeneiety発現プロフィールの検討

2002 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 13671751
• Research Institution: JTKEI UNIVERSITY SCHOOL OF MEDICINE
• Principal Investigator: 岡本 愛光 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (20204026)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 落合 和徳 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (20152514) ; 高野 浩邦 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (50226809) ; 高倉 聡 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (60256401) ; 田中 忠夫 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (50110929)
• Keywords: 卵巣癌 / 薬剤耐性 / cDNA マイクロアレイ / Laser Capture Microdissection (LMD)

Research Abstract

われわれは化学療法剤耐性患者、感受性患者を選別し、500種類の遺伝子についてcDNAマクロアレイ解析を行い、4倍以上発現変化のある68種の遺伝子を見いだした。さらに卵巣癌細胞株2008を親株とし2種類のTaxol耐性株を樹立し、cDNAマイクロアレイで9121遺伝子をスクリーニングした。前述の68遺伝子とオーバーラップする3遺伝子について卵巣癌手術検体を用い、さらにスクリーニングした。卵巣癌手術検体はレーザーキャプチャーマイクロダイセクションにより癌組織および正常卵巣上皮をそれぞれ抽出し、シングルアダプターを用いたT7 based amplificationによりRNAを増幅した後、RT-PCRにより発現変化を検討した。その結果、basic transcription element binding protein(BTEB1)遺伝子がタキソール耐性患者癌組織で正常卵巣上皮に比較し発現の増強が認められた。BTEB1 cDNAを卵巣癌細胞株2008にトランスフェクションし、タキソールに対する耐性が4倍以上増強することが確認された。またこのトランスフェクタントと2008の遺伝子発現変化をcDNAマイクロアレイで確認している。
またわれわれはレーザーキャプチャーマイクロダイセクションにより癌組織および正常卵巣上皮をそれぞれ抽出し、シングルアダプターを用いたT7 based amplificationによりRNAを増幅した後、cDNAマイクロアレイ解析を行う系を確立した。この方法によりさらなる精度の向上を目指し、臨床病理病態を反映させる組織型、grade、進行期、抗がん剤耐性の有無に細分化した発現プロフィールを検索している。特に粘液性卵巣癌では正常卵巣上皮、腺種、境界悪性、癌領域が混在する腫瘍組織があり、卵巣癌の多段階発がんに関する遺伝子をスクリーニングするには理想的な検体となる。現在このような症例を収集してレーザーキャプチャーマイクロダイセクション-cDNAマイクロアレイを用いスクリーニングしている。

Research Products

• [Publications] Takakura S, Kohno T, Manda R, Okamoto A, Tanaka T, Yokota J: "Genetic alterations and expression of the protein phosphatase 1 genes in human cancers"Int. J. Oncol. 18. 817-824 (2001)
• [Publications] 岡本愛光, 山本佳津恵, 斉藤美里, 磯西成治, 大竹康之, 落合和徳, 田中忠夫: "卵巣がんの抗がん剤耐性化機構に関与する遺伝子"Oncology & Chemotherapy. 17. 261-264 (2002)
• [Publications] 岡本愛光, 高野浩邦, 高倉聡, 磯西成治, 田中忠夫, 落合和徳: "卵巣癌の取り扱いUpdate上皮性卵巣がんの遺伝子変化とその臨床応用への展望"日本婦人科腫瘍学会雑誌. 20. 47-58 (2002)