2001 Fiscal Year Annual Research Report
HGFアンタゴニスト(HGF/NK4)を用いた卵巣癌遺伝子治療への戦略
Project/Area Number |
13671754
|
Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
米山 剛一 日本医科大学, 医学部, 講師 (90220772)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒瀬 圭輔 日本医科大学, 医学部, 助手
|
Keywords | 卵巣癌 / HGF / チミジンホスフォリラーゼ |
Research Abstract |
近年,癌細胞の浸潤と血管新生の関係が注目されている.肝細胞増殖因子(HGF : hepatocyto growth factor)は主に腫瘍を構成する間質細胞より分泌され,腫瘍細胞の増殖,浸潤,血管新生を促進する.他方,HGF fragmentであるHGF/NK4はHGF antagonistとして作用する.今回,この作用機構に着目し,卵巣癌遺伝子治療開発を目指し,HGF/NK4遺伝子発現adenoviral vector(Ad-NK4)を作成し,腫瘍増殖抑制効果を検討することを目的とした.本年度は卵巣癌症例の血中のHGF濃度に注目した.すなわち,インフォームドコンセントが得られた卵巣癌症例4例および非卵巣癌症例4例の血中のHGF濃度をELISA法にて測定した.その結果,卵巣癌症例の血中HGF濃度は0.50±0.18であり,非卵巣癌症例の血中HGF濃度は0.32±0.04であった.有意差は認められなかったが(P=0.14)卵巣癌症例の血中HGF濃度は非卵巣癌症例に比し,やや高い傾向が認められた.今後,症例数を追加して検討を行う予定である.また,HGF/NK4遺伝子発現adenoviral vector(Ad-NK4)を入手し得たために次年度はin vitroおよびin vivoの実験をすすめる予定である. また,本年度はHGFと同様に血管新生因子であるチミジンホスフォリラーゼ(TP)の卵巣腫瘍における腫瘍内濃度を測定した.測定に際し,インフォームドコンセントが得られている.その結果卵巣癌(n=14)では125.8±33.0Unit/mg protein,良性卵巣腫瘍(n=7)では28.3±9.0Unit/mg protein,非腫瘍性卵巣では22.5±8.5Unit/mg proteinであり卵巣癌と良性卵巣腫瘍における(TP)の値に有意差(P<0.05)が認められ卵巣腫瘍の増殖,浸潤過程に重要な役割をはたしていると考えられた.
|
Research Products
(1 results)