2001 Fiscal Year Annual Research Report
パクリタキセルのHSP27発現抑制効果は婦人科癌細胞の薬剤耐性克服に関与するか?
Project/Area Number |
13671758
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
藤原 恵一 川崎医科大学, 医学部, 助教授 (20238629)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 一郎 川崎医科大学, 医学部, 教授 (30108146)
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Keywords | HSP27 / 婦人科がん細胞 / 化学療法 / 耐性 / シスプラチン / パクリタキセル |
Research Abstract |
現在HeLa細胞の親株(HeLaS)とcisplatin(CIS)耐性株(HeLaR)の種類について、paclitaxel(PTX)とCISの投与のタイミングがHSP27の発現と殺細胞効果にどのように関連しているかを検討している。実験方法は、HeLaS細胞とHeLaR細胞に対してPTXとCISのIC50の濃度を、それぞれの単剤を加えた場合同時接触させた場合、さらにPTX→CISの順序で加えた場合と、CIS→PTXの順序で加えた場合の殺細胞効果とHSP27の発現の相関を解析し、HSP27の発現抑制がCISの耐性克服に関与しているかどうかを検討しようとしたものである。 予備実験を行ったところ、HeLaR株およびHeLaS株はともに、CISの処理によってHSP27の発現は増強されるが、PTXによってその発現は抑制されることがわかった。薬剤に対する感受性は両細胞ともに、CIS単独、PTX単独、CIS→PTXでは殺細胞効果に差が見られなかったが、PTX→CISでは明らかに殺細胞効果は増強されており、PTXの前処置によってCISに対する感受性が更新していることが示された。すなわち、HSP27の発現抑制とCIS感受性の亢進に相関関係が見られることが示唆された。 しかし、この実験を繰り返し行った際、HeLaR細胞のCISおよびPTXに対する感受性に大きなばらつきが生じることが判明したため、HeLaS細胞とHeLaR細胞のCIS, PTXに対する用量反応曲線の作成を行ったところ、HeLaR細胞において、CISとPTXに対する感受性が過去のデータと大きく食い違っていることがわかった。そのため、HeLaR細胞の培養条件の見直しと薬剤接触条件の再検討を余儀なくされている。
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