2001 Fiscal Year Annual Research Report
培養網膜神経節細胞死におけるグルタミン酸受容体サブユニットの変化の解析
Project/Area Number |
13671835
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大鳥 安正 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (40303953)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森村 浩之 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (70314325)
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Keywords | 網膜神経節細胞 / 緑内障 / グルタミン酸受容体 / 神経細胞死 |
Research Abstract |
グルタミン酸による神経細胞死は、脳および網膜の虚血などで古くから重要な経路の一つとされている。グルタミン酸受容体にはNMDAとnon-NMDA(以下AMPA-KA)があり、NMDA受容体はカルシウム透過性があることからグルタミン酸カルシウム仮説の主要経路と考えられている。一方、AMPA-KA受容体は、AMPA受容体サブユニット(GluR1-4)のGluR2受容体の発現が減少するとカルシウム透過性が亢進し細胞死を引き起こすことが知られているが、一般的にはGluR2の発現は生後より徐々に増加し、adultではAMPA-KA受容体を介してカルシウムが細胞内に流入することに異論をとなえる研究者も多い。我々は、単離培養した網膜神経節細胞においてみられる低濃度グルタミン酸による細胞死がAMPA-KA受容体を介するカルシウムの細胞内流入が主たる経路であることを報告した。培養網膜神経節細胞では、培養1日目ではGluR2受容体の発現が低下しているが、培養期間が長くなるとGluR2の発現は徐々に増加し、培養後10日目には生存している細胞はすべて神経軸索および樹状突起を長く伸ばしており、そのほぼすべての細胞にGluR2の発現がみられた。このことは、培養期間によりグルタミン酸受容体の発現が変化し、細胞毒性が変化することを示唆している。また、間接的に電位依存性カルシウムチャンネルが開放してカルシウムが細胞内に流入するかどうかをみるために各種カルシウム拮抗薬を前投与してグルタミン酸のカルシウム濃度の変化を検討したところnifedipine、diltiazemではカルシウムの細胞内流入を阻止できなかったのに対して、nilvadipineでは約半数の細胞でカルシウムの細胞内流入を阻止できた。このことは、L型カルシウムチャンネルよりもT型カルシウムチャンネルがAMPA-KA受容体に関連している可能性を示唆している。
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[Publications] Inatani M, Honjo M, Otori Y, Oohira A, Kido N, Tano Y, Tanihara H: "Inhibitory effects of neurocan and phosphacan on neurite outgrowth from retinal ganglion cells in culture"Invest Ophthaimo Vis Sci. 42. 1930-1938 (2001)
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[Publications] 三木篤也, 大鳥安正, 森村浩之, 岩崎直樹, 田野保雄: "Ultrasound Biomicroscopeで長期観察し得たプラトー虹彩症候群の1症例"眼紀. 52. 404-408 (2001)
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[Publications] 日比野佐和子, 大鳥安正, 渡辺仁, 吉田 豊, 田野保雄: "人間ドックにおける緑内障検診の検討"眼紀. 52. 652-655 (2001)
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[Publications] 大鳥安正: "眼科レーザーのすべて(毛様体破壊術)"文光堂(眼科診療プラクティス). 270 (2001)