2002 Fiscal Year Annual Research Report
網膜-視覚中枢投射パターンの再構築による視覚機能回復
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13671839
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小阪 淳 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (40243216)
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Keywords | retinotopy / 末梢神経移植 / 網膜神経細胞 / DNAアレイ / in situ hybridization / ラット |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、網膜-視神経-視覚中枢投射パターンの再構築を目指してラット眼球への2本の末梢神経片の移植を試みた。現在までのところ、通常の視神経切断端への1本の末梢神経移植に比べて著しい視神経再生促進効果は見られない。その原因として、ラットでは眼球が小さいために、末梢神経片挿入・吻合手術によって手術侵襲が大きすぎ、また網膜神経層に大きな虚血を引き起こしていることが考えられる。平成15年度は、侵襲軽減の工夫として、抗炎症剤を活用し、縫合に瞬間接着剤の利用を試みることで、術式の改善を図り、当初の研究目的を果たしてゆく予定である。 一方で、新たにポリエチレン・イミン(PEI)の付加によるカチオン化機能たんぱく質の導入を試みた。PEI-GFPをマウス腹腔内に注射後1時間で、腸、肝、腎等の腹腔実質臓器にGFPが検出できた。また、門脈内にPEI-GFPを注入し、肝臓の切片を作成して蛍光顕微鏡で観察したところ、小葉間静脈周辺で明るく、中心静脈域へ向かうに従って暗くなるGFPの蛍光が観察できた(論文投稿中)。最終年度では、脳室内注入による脳神経細胞内、特に、上丘ニューロン、外側膝状体ニューロンへの外来たんばく質の導入と、硝子体内注入による網膜神経節細胞への導入を試み、retinotopy関連分子の強制発現実験の基礎研究とする予定である。 さらに、視神経切断早期に発現変化する遺伝子の網羅的単離を目指して、クロンテック社のナイロンメンブレン・アレイでDNAアレイ実験を行っている。視神経切断後24時間で、コントロールに比べて2倍以上発現が増加する遺伝子が36個、1/2以下に発現低下する遺伝子が38個同定できた。現在、定量RT-PCRによりアレイ実験の結果を確認するとともに、in situハイブリダイゼーション法により、網膜神経節細胞における発現変動を確認中である(第108回日本解剖学会発表)。
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[Publications] Kosaka J, Wakabayashi T, Sasaki J.: "Histochemical Evidence for the Differential Involvement of Alpha and Beta Isoenzymes of Protein Kinase C in ON-and OFF-Pathways in the Rat Retina"Frontiers in Life Science. (印刷中). (2003)