2002 Fiscal Year Annual Research Report
モデル動物を用いた白内障発症機構の分子生物学的研究
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13671862
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Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
正木 茂夫 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 生化学部, 主任研究員 (10157175)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 吉將 近畿大学, 薬学部・製剤学科, 助教授 (50128633)
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Keywords | 白内障 / フィレンシン / 組織特異的発現 / 細胞分化 / 転写因子 / 発現異常 / γクリスタリン / 水晶体 |
Research Abstract |
1.フィレンシンのレンズ線維細胞特異発現の機構とトランスクリプトームの解析。(i)細胞の増殖プロセスにはSrcファミリーキナーゼが関与していることが知られているが、最近その特異的な阻害剤であるPP1によって、レンズ上皮細胞は増殖を止め一斉に線維細胞へと分化することが示された。この際にフィレンシン合成の著しい亢進が見られるので、レンズ細胞の分化に関わる転写因子のうちでフィレンシン遺伝子プロモータに作用しその発現を制御しているものがあることが予想される。また遺伝子プロモータ配列のうち-56/+93について10bpづつ欠失した配列をもつレポータプラスミドのセットを作製したところ、4つの欠失クローンでプロモータ活性のほぼ完全な消失がみられ、転写因子がこれらの領域に作用することが示された。欠失配列を持ったプローブを合成しEMSA法を用いて転写因子の同定を行っている(担当:正木茂夫、伊藤吉將)。 2.遺伝的フィレンシン欠損ノックアウトマウス作成によるフィレンシンの機能解析。フィレンシン遺伝子ノックアウトマウスを作成する目的で、遺伝子組み換えES細胞を得て、キメラマウスを作製した。現在は、遺伝子組み換えマウスの交配を行なっている(担当:正木茂夫、Roy A. Quinlan)。 3.変異γクリスタリンによってもたらされる遺伝性白内障。現在まで3種類のγクリスタリン変異によるマウス遺伝性白内障が知られているが、これまで変異クリスタリンと白内障発症との関連は明らかでなかった。3種類の変異マウスのそれぞれのレンズの細胞核を観察したところアミロイド様封入体が見られた。また遺伝子組み換えによって合成した変異γクリスタリンも水溶液中でアミロイド様の構造を取っていたので、封入体は変異γクリスタリンであることが示され、γクリスタリンは変異によってアミロイド様封入体を細胞核内に形成し、核の機能を低下させ白内障の原因となることが示された(担当: Roy A. Quinlan、正木茂夫)。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Sandilands A, 他: "Knockout of the intermediate filament protein CP49 destabilises the lens fibre cell cytoskeleton and decreases lens optical quality, but does not induce cataract"Exp Eye Res.. (印刷中). (2003)
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[Publications] Sandilands A, 他: "Altered aggregation properties of mutant gamma-crystallins cause inherited cataract"EMBO J.. Nov;21(22). 6005-6014 (2002)
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[Publications] Masaki S, Yonezawa S, Quinlan R.: "Localization of two conserved cis -acting enhancer regions for the filensin gene promoter that direct lens-specific expression"Exp Eye Res.. Sep;75(3). 295-305 (2002)
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[Publications] Oda S, Hanai A, Masaki S, Yonezawa S.: "A new mouse model with cochleo-saccular type inner ear defects"Exp Anim.. Oct;50(5). 417-421 (2001)
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[Publications] 竹鼻眞, 正木茂夫: "遺伝子からみた白内障"日本白内障学会誌. 14巻. 13 (2002)