2002 Fiscal Year Annual Research Report
瘢痕およびケロイド線維芽細胞における細胞骨格と低分子量Gタンパク質発現の検討
Project/Area Number |
13671887
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Research Institution | KANAZAWA MEDICAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
石倉 直敬 金沢医科大学, 医学部, 教授 (60159712)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 良子 金沢医科大学, 医学部, 助手 (90319054)
吉田 純 金沢医科大学, 医学部, 助手 (40257473)
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Keywords | 線維芽細胞 / 瘢痕 / 低分子量Gタンパク質 / 細胞骨格 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き形成外科的手術により切除された瘢痕組織やケロイド組織を用いた免疫学的検討を行った。染色に用いた抗体はSanta Cruz社製の抗p-38(C-20),抗p-38(D2),抗ERK2(C-14),抗ERK2(D-2)抗RGS1,抗RGS2,抗RhoA(26C4),抗RhoB(119),抗RhoG(C-20),抗K-Ras(F234),抗pan Ras(F132),抗FAK(A-17),抗vinculin(C-20),抗paxillin(C-18),抗α-actinin(C-20)などである。昨年度の検討では一部の抗体でのみ陽性所見が得られるにとどまったが,本年度は染色法として一次抗体のincubation timeを72時間に延長した結果,ほとんどの抗体で陽性所見が得られることが判明した。具体的には細胞骨格のマイクロフィラメントに随伴するものは線維状として,また,接着斑に局在するものは点状に染色された。Rho, Rasなどは細胞質内に染色性が認められた。Rho familyにおいてはRhoGは細胞質のみならず核周囲が強く染色され,RhoBは細胞質がほぼ均一に染色された。これらは,いずれも肉芽組織下層の新しい瘢痕組織や肥厚性瘢痕において染色性が強く,萎縮性瘢痕や正常皮膚では弱い傾向が見られた。また,抗RGS1抗体で肥厚性瘢痕の基底膜部分に陽性所見が見られたが,これの意味することは今後の課題であり,ケロイドとの差異の1つになるかもしれない。 付随的に新たに発見された事として,表皮細胞内の樹枝状細胞(おそらくT細胞)が抗RhoB抗体で染色された。これは,その樹状突起の伸張にアクチン線維形成が関与し,RhoBがそれにかかわっているためであろうと推察された。そして,この樹枝状細胞が瘢痕では少ないことも認められ,瘢痕の消長と樹枝状細胞の数的変動の関与が示唆された。抗Egr-1抗体においても樹枝状細胞が染色されたが,これがどのような意味を持つのかは未定である。
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