2001 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病原性細菌Porphyromonas gingivalisの多剤排出ポンプ
Project/Area Number |
13671926
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
池田 健 愛知学院大学, 歯学部・微生物学講座, 講師 (80241131)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 文信 愛知学院大学, 歯学部・微生物学講座, 教授 (50001962)
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Keywords | Porphyromonas gingivalis / 偏性嫌気性菌 / 多剤排出ポンプ / 最小発育阻止濃度 / 薬剤感受性 / 菌体内蓄積 / 電気化学ポテンシャル / 歯周病 |
Research Abstract |
歯周病原性細菌Porphyromonas gingivalls (Pg)には大腸菌のRND型多剤排出ポンプの遺伝子acrBに高い相同性をもつ遺伝子(ORF)がふたつ存在していた。さらに、その周辺にはRND型ポンプを構成する膜融合蛋白質(MFP)および外膜成分(OMF)と予想されるORFも存在し、オペロンを形成していると推定された。これらのことは、薬剤に対する感受性が比較的高いとされる本菌でも、acr系多剤排出システムが異物排出機構として機能していることを示唆していると考えられた。そこで、Pg標準株ATCC33277を用いて一段階の変異で多剤に対して耐性を獲得し得るかを調べたところ、多剤耐性株を分分離することができた。この株が耐性を示す薬剤のスペクトルはRND型ポンプの基質とある程度共通していた。そこで、Pgに多剤排出ポンプが存在することを確かにするために、まず、見出したORFに薬剤カセットを相同組み換えで導入することにより、遺伝子特異的変異株を作製した。これらの株に対する種々の薬剤の最小発育阻止濃度(MIC)を測定したところ、一方の遺伝子xepB及びその周辺遺伝子の変異株に対してはリファンピシン、エチヂウムブロマイド、ピューロマイシン、テトラサイクリン、SDSなどのMICが低下していた。もう一方のxepF及びその周辺遺伝子に変異を導入しても、MICに変化はなかった。蛍光色素アクリフラビンの親株ATCC33277とxepβ変異株における菌体内蓄積量は、変異株の方が約2倍多くなっていた。さらに、プロトンの脱共役剤CCCPを用いて、排出ポンプの駆動エネルギーがプロトンの電気化学ポテンシャルであることを示した。当初の目的のうち(1)薬剤排出ポンプ遺伝子の存在(変異株の作製とMIC測定)、(2)薬剤の菌体内蓄積、(3)駆動エネルギーの三点を明らかにした。この研究により、偏性嫌気性菌でRND型排出ポンプの存在と機能を初めて示した(投稿中)。
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