2002 Fiscal Year Annual Research Report
副甲状腺ホルモン関連ペプチドの小胞体膜透過制御機構
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13671934
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Research Institution | NIIGATA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
天谷 吉宏 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (50193032)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 恵 横浜市立大学, 医学部, 助教授 (60157427)
織田 公光 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10122681)
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Keywords | タンパク質の膜透過 / タンパク質の細胞内輸送 |
Research Abstract |
副甲状腺ホルモン関連ペプチド(PTHrP)は分泌経路によって輸送されるとともに、ある条件では核または核小体にも局在するというきわめて興味深い局在化の制御を受ける。本研究は、このタンパク質局在制御が分泌タンパク質の小胞体膜透過の過程で起こる可能性を証明し、その分子機構を解明する突破口とすることを目的として行った。この結果、以下の事を明らかにした。 1.PTHrPのシグナル配列によるタンパク質の小胞体膜透過は通常の哺乳類分泌タンパク質のシグナル配列と同様にシグナル認識粒子に依存して小胞体膜に到達するものの、その後の膜透過機構は通常の翻訳に共役した機構ではなく、翻訳終了後に膜透過する。(投稿準備中) 2.PTHrP前駆体の中間領域(35-87)、とC-末端領域(107-141)の間に膜透過を制御する配列が存在する。これらの配列はタンパク質の小胞体膜透過を強く阻害すると同時に、翻訳に共役した膜透過に必須のリボソームと膜の間の結合を解離する。(投稿準備中) これらの知見はPTHrP前駆体が小胞体膜透過の過程で、細胞質に存在する核移行レセプター、リン酸化酵素あるいは細胞骨格の構成因子など、核へのタンパク質輸送にかかわる制御因子と相互作用して局在制御を受ける可能性を強く示唆している。 PTHrPの局在や核および核小体での機能を制御する因子を検索する目的で、PTHrP前駆体を大腸菌に大量発現させ、非変性条件で精製する系を確立した。精製したタンパク質を用いて、サイトソル、小胞体膜および核の画分で相互作用する因子の検索を行った。この結果、いくつかの相互作用因子が発見された。現在、その同定と機能解析を行っている。これらの因子の一部はPTHrPの核移行レセプター結合部位が相互作用に必須であることから、両者の競合による輸送制御機構の存在が示唆される。
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