2002 Fiscal Year Annual Research Report
歯科用レジン重合開始剤の細胞障害性のメカニズム解明と光化学療法剤への応用
Project/Area Number |
13671948
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
熱海 智子 明海大学, 歯学部, 助教授 (60049385)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤沢 盛一郎 明海大学, 歯学部, 教授 (40014162)
杉田 憲司 明海大学, 歯学部, 講師 (90171157)
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Keywords | 光化学療法剤 / 光増感剤 / レジン重合剤 / カンファキノン / 9-フルオレノン / クルクミン / DPPH / フリーラジカル |
Research Abstract |
光化学療法はある種の化学物質が腫瘍細胞に集積しやすい性質を利用して,光増感物質を添加御励起し,生ずるフリーラジカル反応により,腫瘍細胞を死滅させるものである.今年度はレジン重合開始剤camphorquinone(CQ)および9-fluorenone(9F)についてstable radicalのDPPHおよびGalvinoxylを用いてラジカル捕捉剤としての性質を検討した.重合開始剤をエタノールに溶解し,0.1mM DPPHおよび0.1mM galvinoxylエタノール溶液に加え,歯科用可視光線ランプで2分間照射し,560nmの吸光度を測定しreduction rateを求めた.その結果,DPPHとgalvinoxylとも,CQはラジカルを捕捉したが9Fは捕捉できなかった.これはCQの電荷移動状態はn-πであり,9Fのそれはπ-πであるので,9Fのような共役系が長い分子の光重合開始剤は3重項では水素を引き抜くために付加の能力は著しく低下し,還元剤非存在下での光励起で,^3O_2から^1O_2の産生を優先するためと考えられる. 一方,食品添加物のcurcuminをヒト顎下腺腫瘍細胞またはヒト歯肉線維芽細胞に添加し,歯科用レジン照射器を用いて可視光線を10分照射後の細胞障害性および活性酸素発生量を測定した.この結果,curcuminでは細胞障害性は非照射時の20倍に増加し、活性酸素は非常に微量(0.5μM)から発生した.これに比べ,curcuminのアリル二重結合を持たないTH-curcuminにおいては、細胞障害性はほとんど増加せず、活性酸素の発生も認められなかった.このことからcurcuminが強い光毒性をもち,光化学療法剤として使用可能であるとの示唆が得られた.
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