2002 Fiscal Year Annual Research Report
ニフェジピン感受性歯肉培養線維芽細胞の増殖と細胞周期
Project/Area Number |
13671983
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
藤井 彰 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (70102564)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋元 芳明 日本大学, 松戸歯学部, 助教授 (10147720)
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Keywords | 歯肉線維芽細胞 / ニフェジピン / 細胞周期 / 細胞増殖 / サイクリン / 細胞内情報伝達 / p38MAPK |
Research Abstract |
ニフェジピン(NI)感受性培養歯肉線維芽細胞の増殖と細胞周期について検討した。NIF感受性患者から得られた歯肉線維芽細胞(NIFr)と非感受性患者から得られた歯肉線維芽細胞(NIFn)にNIの各種濃度を作用させ細胞増殖を調べると、従来報告されていた通り1μMのNIを作用させることによりNIFrで増殖が亢進したがNIFnでは変化が認められなかった。また、10μMのNIFを作用させると、NIFr、NIFnともに細胞増殖は亢進されなかった。NIFr、NIFnにおける細胞周期に対するNIFの影響を検討した。細胞周期において、サイクリンが重要な機能を持っているが、サイクリンの阻害により細胞周期が停止することが明らかになっている。NIFrとNIFnとを比較すると、NIFnにおいてp38MAPKの発現が多いことが認められた。p38MAPKはサイクリンD1を阻害し、G1期で細胞周期を停止させることが明らかになっている。さらに、p38MAPKはM期でも細胞周期を停止させることが明らかになっている。これらのことから、NIFnはより強く細胞周期における抑制がかかっており、逆にNIFrは細胞周期が進みやすく増殖しやすい状況になっていることが考えられる。p38MAPKを活性化(リン酸化)するアニソマイシンでNIFrとNIFnとを刺激すると、NIFnでp38MAPKおよびp38MAPKでリン酸化されるATF-2のリン酸化率がNIFrより高いことが認められた。p38MAPKの活性化にcGMPを介する系があるので、cAMPおよびcGMPに作用するホスホジエステラーゼ阻害薬であるIBMX(3-isobutyl-1-methylxanthine)でNIFr、NIFnを刺激すると、同様にNIFnでp38MAPKおよびp38MAPKでリン酸化されるATF-2のリン酸化率がNIFrより高いことが認められた。以上の結果からNIFrおよびNIFnにはp38MAPKのカスケードが存在し、NIFnにより多く存在することが認められた。また、ニフェジピンが歯肉線維芽細胞(NIFrおよびNIFn)中のサイクリンA、B、D、Eに変化を与えないという結果も得ている。
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