2003 Fiscal Year Annual Research Report
ニフェジピン感受性歯肉培養線維芽細胞の増殖と細胞周期
Project/Area Number |
13671983
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
藤井 彰 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (70102564)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 裕子 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (50221594)
秋元 芳明 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (10147720)
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Keywords | ニフェジピン / 歯肉線維芽細胞 / 細胞周期 / 細胞増殖 / サイクリン / サイクリン依存性キナーゼ |
Research Abstract |
申請者はジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬のニフェジピンによる歯肉増殖症の発症機序の解明のため、ヒト歯肉培養線維芽細胞を用いて一連の研究を行なってきた。本研究では、ニフェジピン服用により、歯肉増殖症を発症した患者から得たヒト歯肉培養線維芽細胞(NIFr)と、歯肉増殖症を発症しなかった患者から得たヒト歯肉培養線維芽細胞(NIFn)を用いて、細胞周期および細胞周期に深く関与するサイクリン、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)のmRNA発現について比較した。なお、細胞周期はフローサイトメトリー法(FACS Calibur, B-D Immunocytometry System)を用い、mRNA発現はRT-PCR法を用いて検討した。塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)10ng/mlを細胞培養液中に作用させた場合、NIFrはNIFnと比較して、30-42時間でG0/G1期細胞が有意に減少し、それに伴ってS、G2/M期細胞が有意に増加した。また、NIFr、NIFnいずれの場合においても、bFCF(10ng/ml)の刺激によって、サイクリンD1、E、A、B1、CDK2、1 mRNA発現の亢進が認められた。これらmRNA発現の亢進はすべてのmRNAにおいてNIFrはNIFnより高い値を示した。これらの結果から、NIFrはNIFnよりもbFGFによってG0/G1期からS、G2/M期へと移行する細胞が多く存在し、さらに、bFGFによってNIFrはNIFnよりもサイクリンおよびCDK mRNA発現が亢進することが考えられた。従って、NIFrはNIFnよりもサイクリンやCDKの発現が亢進する結果として、bFGFなど血清内の細胞成長因子に対する感受性が高いということが示唆され、すでに我々が報告しているNIFrがNIFnより細胞倍加時間が短いという結果の一因となると考えられた。
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