2001 Fiscal Year Annual Research Report
リン酸カルシウム-高分子酸セメントの物性に及ぼす抗菌剤添加の影響
Project/Area Number |
13672003
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松家 洋子 九州大学, 歯学部・附属病院, 助手 (50128097)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松家 茂樹 九州大学, 大学院・歯学研究院, 助教授 (00108755)
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Keywords | ポリメチルビニルエーテルマレイン酸 / リン酸4カルシウム / メトロニダゾール / セファクロル / シプロフロキサシン / 溶出 / 圧縮強度 |
Research Abstract |
医用高分子ポリメチルビニルエーテルマレイン酸の濃厚水溶液とリン酸4カルシウム粉末を練和して得られる試作セメントにメトロニダゾール、セファクロル及びシプロフロキサシンを添加してカルシウム、リン酸分及び抗生剤の水中での溶出挙動を調べるとともに、これら抗生剤添加によるセメント本体の圧縮強度の変化を調べた。セメント液には25%ポリメチルビニルエーテルマレイン酸水溶液を使用した。セメント粉末には2時間粉砕したTTCP粉末に上記の抗生剤を重量でそれぞれ5%添加して使用した。粉液比は液1gに対し粉3gとした。その結果、下記の事項が明らかになった。 1.抗生物質の溶出挙動は添加した抗生剤の種類によって異なり、メトロニダゾール、セファクロルの溶出速度に比べてシプロフロキサシンの溶出速度が最も小さかった。メトロニダゾールとセファクロルの初期溶出速度はセメントの浸漬開始から数時間はほぼ同程度であった。その後、浸漬液中のメトロニダゾールの濃度は徐々に増加したが、セファクロルの濃度は低下していく傾向を示した。このことはセファクロルが水中で不安定であることを反映したものと考える。 2.リン酸分の溶出速度は抗生剤の添加により大きな変化は示さなかったが、カルシウムの溶出速度は何れの抗生剤を添加した場合もコントロールの無添加セメントより大きかった。 3.抗生剤を添加しないセメントは約29MPaの圧縮強度を示した。この値はシプロフロキサシンとメトロニダゾールを5%添加するとどちらも約1割低下した。使用した3種類の抗生剤のなかではセファクロルが最も大きい影響を示し、5%添加したセメントの圧縮強度は約21MPaに低下した。すなわち、何れの抗生剤を添加した場合も、リン酸4カルシウムと高分子酸のあいだの酸塩基反応が阻害され、セメント形成反応が押さえられる傾向があった。特にセファクロルを添加した場合にこの傾向は顕著であった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Akashi A., Matsuya Y., Unemori M., Akamine A.: "Release profile of antimicrobial agents from α-tricalcium phosphate cement"Biomaterials. 22・20. 2713-2717 (2001)
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[Publications] Clifford A., Hill R., Refferty A., Mooney P., Wood D., Samuneva B., Matsuya S.: "The influence of calcium to phosphate ratio on the nucleation and crystallization of apatite glass-ceramics"J. Materi. Sci. : Mater. Med.. 12・5. 461-469 (2001)
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[Publications] Kurmaev E.Z., Matsuya S., Shin S., Watanabe M., Eguchi R., Ishiwata Y., Takeuchi T., Iwami M.: "Observation of fluorapatite formation under hydrolysis of tetracalcium phosphate in the presence of KF by means of soft X-ray emission and absorption spectroscopy"J. Mater. Sci. : Mater. Med.. 13・1. 33-36 (2002)