2002 Fiscal Year Annual Research Report
顎関節のメカニカルストレスに咬合が及ぼす影響の検討
Project/Area Number |
13672020
|
Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
服部 佳功 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (40238035)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高津 匡樹 東北大学, 歯学部附属病院, 助手 (50343033)
佐藤 智昭 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (50312591)
|
Keywords | 咬合力 / 顎関節 / メカニカルストレス / 有限要素モデル / シミュレーション / 顎関節症 / バイオメカニクス |
Research Abstract |
顎関節メカニカルストレスの異常は、顎関節症における関節部症状の発現、増悪、定着に直接の関与を有する疫学因子として、注目を集めている。だがメカニカルストレスの異常がいかなる機序で惹起されるかについては、今日なお不明のままである。顎関節メカニカルストレスは、上顎を含む頭蓋と下顎の間に作用する筋の張力が、両者の接する顎関節と歯列とに分かたれ担われた一方である。他方すなわち咬合力に影響を及ぼしうる咬合の変化は、顎関節メカニカルストレスにも影響を及ぼすであろう。そこで本研究では、顎関節メカニカルストレスに及ぼす咬合の影響の解明を企図した。 歯列と顎関節を含む下顎の三次元有限要素モデルを構築し、これに咀嚼筋収縮力に相当する力を入力して、顎関節ならびに歯列咬合面上の拘束節点に生じる反力を、それぞれ顎関節メカニカルストレスならびに咬合力として求めた。咬合の変化は、臼歯の欠損を想定した。モデル上では、咬合面上の拘束節点の拘束を解く方法で、当該歯の欠損をシミュレートした。筋力に相当する外力は、大きさについては筋活動量の実験値に基づく推定値を用い、作用部位、方向については、先行論文を参考にした。完全歯列における咬合力の歯列上分布を、実験値として知られるその正常者像と照合し、両者の合致を図るべく、モデルの諸条件を調節した。 本研究の結果、筋力の歯列と顎関節における負担配分には、歯列後方からの遊離端臼歯欠損の影響が大きく、歯種によらず中間欠損の影響は小さかった。後方遊離端欠損に伴い、筋力に対する同側顎関節メカニカルストレスの比は増したが、同時に実験値から推定された筋力も減少したため、結果としてメカニカルストレスの増大は認められなかった。以上の知見は、顎関節メカニカルストレスの過剰が臼歯欠損によって直ちには招かれないことを示すものであり、顎関節症と咬合支持の関連を示す証拠は得られなかった。
|