Research Abstract |
実験には日本白色家兎を用いた.ウレタン,α-クロラロース,ガラミンを投与し,気管切開した後,人工呼吸下で実験を行った.まず,オトガイ神経,眼窩下神経に電気刺激を加え,循環動態の変化を検討した.また,その変化を減圧神経電気刺激時の変化と比較した.電気刺激の様式は,強度は1mA〜20mA,頻度は1〜50Hz,持続時間は0.1〜0.5msの矩形波での10sの刺激とした. オトガイ神経,眼窩下神経とも頻度5Hz,強度5〜20mA,持続時間0.5msの刺激時に最も血圧下降が顕著であり,この条件より低頻度および弱い刺激では,血圧下降は少なかった.一方,より高頻度および強い刺激では,血圧下降後に血圧が上昇する場合も出てきた.刺激に対する応答は,両神経で差はなかった.血圧下降後に血圧上昇をみた場合には,刺激開始から血圧が最低値を示すまでの時間は約4.2s,最高値を示すまでの時間は約11.6sと,反応時間に差があることが明らかとなり,刺激伝導経路が異なることが示唆された.一方,減圧神経の刺激においては,強度5mA,頻度50Hz,持続時間0.5msの条件で最も血圧低下が顕著であり,刺激に対する応答は,三叉神経末梢の刺激時とは異なっていた. 次いで,三叉神経末梢刺激と減圧神経刺激の相互作用を検討した.すなわち様々な様式の三叉神経刺激と減圧神経刺激を組み合わせ同時刺激したが,今回の検討では明らかな相互作用は見いだせなかった.その結果,三叉神経末梢から三叉神経脊髄路核さらには自律神経系への刺激伝導路と,減圧神経から孤束核を経て自律神経系へと至る刺激伝導路との間には,何らかの連絡がある可能性は少ないことが示唆された.
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