2002 Fiscal Year Annual Research Report
咀嚼時の舌・軟口蓋運動の解析と誤嚥発生への関与に関する研究
Project/Area Number |
13672090
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Research Institution | Osaka University Dental Hospital |
Principal Investigator |
飯田 征二 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (40283791)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古郷 幹彦 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (20205371)
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Keywords | 咀嚼 / 吸啜 / 軟口蓋 / 口蓋帆挙筋 / 口蓋舌筋 |
Research Abstract |
仰臥位での咀嚼能率を判定する目的で、咀嚼能率判定用グミゼリーを用いた10回の咀嚼ストロークでの咀嚼能率の変化を検討した。その結果、起座位における咀嚼に比較して、その能率は減少していることが確認された。この現象の原因としては、咀嚼に必要な開口が、起座位に比較して少なくなっていることが大きな要因であることが咬筋の筋電図学的解析により確認された。これまでの研究結果から仰臥位での咀嚼運動では、軟口蓋との緊密な接触に目的を重きを置く口蓋舌筋の持続的活動により、舌根部の運動が咀囑物の歯列への運搬には寄与することは少なく、そのため効率的な咀嚼が障害されたものと考えられた。また、開口量の制限については、軟口蓋と舌の緊密な接触を行っているため、舌骨の移動が制限されることに起因するものと判断された。以上の結果ならびに前年度の結果から、誤嚥発生に対して軟口蓋に運動の関与について以下の結果が示された。 吸てつ運動においては口蓋舌筋ならびに口蓋帆挙筋が筋活動を示し、結果として軟口蓋が口腔内陰圧に抵抗する活動を示す。咀嚼物が口腔内に位置する際には口蓋舌筋は、咀嚼リズムに一致した活動を示し、咀嚼物を臼歯歯列に位置させる、外舌筋としての性格を示したが、水分を含む食物や、仰臥位においては、同筋は軟口蓋筋としての性格を優先させ、軟口蓋と舌の緊密な接触に寄与していることが示された。口蓋舌筋の後者の性格は、食物が口腔内にある場合、咀嚼物の移動の制限ならびに開口運動の制限という形で咀嚼運動に影響を及ぼし、結果として咀嚼能率の低下を招くことが示された。これら運動の制限が咀嚼やり引き続き生じる嚥下運動に影響を及ぼし、臥床時の誤嚥を発生させる原因となる可能性が示された。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Iida, S., Harada, T, Okamoto M, Inada Y, Koso M, Masuda Y: "Soft palate movement during sucking behavior"Dysphasia. 18. 1-5 (2003)