2003 Fiscal Year Annual Research Report
機械的刺激伝達系における低分子量GTP結合タンパク質の役割に関する研究
Project/Area Number |
13672138
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
五十嵐 薫 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (70202851)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐伯 修一 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (60271954)
禹 済泰 中部大学, 応用生物学部, 助教授 (20272693)
|
Keywords | 低分子量GTP結合タンパク質 / 機械的刺激 / 骨 / 骨形成 / 骨芽細胞 / 国際研究者交流 / アメリカ合衆国 |
Research Abstract |
目的:機械的刺激は骨の恒常性の維持にとって不可欠な因子であり、骨形成に到る機械的刺激のシグナル伝達経路を解明することは重要な課題である。本研究の目的は、機械的刺激のシグナル伝達機構における低分子量GTP結合タンパク質、特に細胞形態を制御しているとされるRhoやRacの役割について検討することである。本年度は周期的伸展刺激装置を用いた細胞レベルでの実験を行い、低分子量GTP結合タンパク質に特異的な阻害剤が機械的刺激を受けた骨芽細胞の反応に及ぼす影響を調べた。 方法:骨芽細胞としてマウス骨芽細胞様細胞株MC3T3-E1を用い、フレクサーセルユニットにより1秒間15%伸展刺激を加え、1秒間休止させる条件の周期的伸展力を48時間負荷した。細胞の反応は細胞形態の変化と一酸化窒素(NO)産生量により評価した。前者は細胞骨格を構成するアクチンの蛍光染色を施して観察し、後者は培養液中に放出された硝酸と亜硝酸の濃度をHPLCグリース法により測定した。阻害剤として、Rhofamilyに特異的なinhibitorであるClostridium defficiletoxinB(4ng/ml)を用いた。 結果:伸展刺激により細胞のアクチン線維の走向が変化した。Toxin Bはアクチン線維の脱重合を起こし、細胞は機械的刺激の有無に関わらずその形態を維持できなかった。細胞のNO産生量は、48時間の伸展刺激により約2倍に増加した。Toxin Bは機械的刺激の有無に関わらず細胞のNO産生量を増加させた。 結論:Rho familyに属する低分子量GTP結合タンパク質は、骨芽細胞によるNO産生に関与している可能性が示唆された。しかし、機械的刺激のシグナル伝達系における役割については、今後さらなる検討が必要である。
|
-
[Publications] Kunnel JG, Igarashi K: "Bone anabolic responses to mechanical load in vitro involve COX-2 and constitutive NOS"Connective Tissue Research. 45. 1-10 (2004)
-
[Publications] Singh ATK: "Regulation of parathyroid hormone-stimulated phospholipase D in UMR-106 cells"Journal of Bone and Mineral Research. 18. 1453-1460 (2003)