2002 Fiscal Year Annual Research Report
反動トルクセンサーを用いた口唇・舌組織の緊張度および硬さデータベースの構築
Project/Area Number |
13672139
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
河内 満彦 東北大学, 歯学部附属病院, 講師 (30195044)
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Keywords | トルクセンサー / 加速度・力・センサー / データベース / 軟組織 / 舌 / 口唇 / 硬度 / 緊張度 |
Research Abstract |
矯正治療においては治療計画立案時に歯の位置を決定する際、考慮すべき因子の一つとして舌や口唇の圧力、緊張度が挙げられる。しかし、"口唇の緊張度が弱い"とか"舌の圧力が大きい"などと評価を下す際に客観的評価が行われているわけではなく、極めて主観的かつ定性的な判断が行われているのが現実であり、この点を科学的な立場から評価する必要があった。そこで本研究では種々の咬合状態を示す被験者の口唇や舌の緊張度や硬さを振動センサーやトルクセンサーにより測定してデータベースを構築し、安定した咬合状態を提供できるような臨床的に客観的な指標を確立することを目的とした。 本研究より得られた結果は以下の通りである。 (1)軟組織の硬度に関しては鼻とオトガイが最も硬く、頬と舌がそれに続き、口唇が最も柔らかかった。 (2)男性では鼻とオトガイが同程度で最も硬く、次いで舌、頬となり、口唇が最も柔らかかった。一方、女性では鼻とオトガイが同程度で最も硬く、口唇、頬および舌は、同様の硬さを示した。男女間での軟組織硬度では一般に男性の方が軟組織の硬い傾向が認められた。 (3)咬合様式の差異による違いでは全般的にcl.III群で軟組織の柔らかい傾向が認められた。 (4)軟組織の緊張度に関してはオトガイが最も低く頬、鼻、口唇が同程度で舌の緊張度が最も高かった。 (5)男性では舌の緊張度が最も高く、次いで鼻、頬となり、オトガイと口唇が最も柔らかかった。一方、女性では舌の緊張度が最も高く、次いでと鼻、口唇、頬が続きオトガイが最も低かった。男女間での軟組織緊張は一般に、鼻、オトガイおよび頬で女性の方が軟組織の緊張度が低い傾向が認められたが、舌と口唇は、男性の方が緊張度の低い傾向が認められた。 (6)咬合様式の違いによる緊張度の差異に関しては、全般的にcl.III群で軟組織の緊張度が低く、cl.II群で高い傾向が認められた。 本システムにより軟組織の硬度と緊張度を客観的に把握することが可能となった。今後は、外科的矯正治療に際しての軟組織側貌予想やMFT、舌縮小術の適応や術後の効果判定などを行う際に応用出来るよう、サンプル数を増加させデータベースを完成させたい。
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