2001 Fiscal Year Annual Research Report
再植後の歯髄・歯根膜再生過程における熱ショック蛋白Hsp25の役割に関する研究
Project/Area Number |
13672141
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
大島 邦子 新潟大学, 歯学部・附属病院, 講師 (80213693)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 勇人 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (70251824)
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Keywords | 再植 / 熱ショック蛋白 / Hsp25 / 歯髄 / 歯根膜 / 再生 / 象牙芽細胞 / 分化 |
Research Abstract |
再植後の歯髄再生過程のメカニズムを明らかにする目的で、再植後の歯髄におけるHsp25の発現を免疫組織化学的に検索した。動物は4週齢ラットを用い、右側上顎第1臼歯を抜去後直ちに再植し、無処置の左側同名歯をコントロールとした。再植後1日から28日後にアルデヒド系固定液で灌流固定・脱灰後、抗Hsp25ポリクロナール抗体および神経マーカーである抗PGP9.5ポリクロナール抗体を用い、酵素抗体法、蛍光抗体法にて免疫染色した。 その結果、Hsp25強陽性を示す象牙芽細胞は、再植後の血行の遮断により、1日後にはHsp25発現を失い、血行が回復する再植後5日後までに、複数の突起を持つHsp25強陽性の細胞が歯髄・象牙境に配列し、28日後までHsP25免疫活性を持続し、多量の修復象牙質形成が見られた。対照群で殆どHsp25陰性であったシュワン細胞、血管内皮細胞が、神経再生が起こる5日後までにHsp25陽性を示し、28日後までにその免疫活性を失うことが明らかになった。また、骨様組織置換群では、歯髄・象牙境にHsp25陽性細胞がみられず、骨基質表面にHsp25陽性細胞が観察された。以上より、Hsp25が再植後の再生象牙芽細胞に特異的に発現することが示され、歯髄間葉細胞の象牙芽細胞への最終分化にHsp25が重要な役割を果たすことが示唆された。また、再植後の歯髄再生過程で、神経が再生する時期及び、間葉細胞が象牙芽細胞へ分化する時期に一致してHsp25陽性のシュワン細胞、血管内皮細胞がみられることから、歯髄変性後の治癒過程の決定並びに神経再生過程にHsp25発現が重要な役割を果たすことが示唆された。 来年度は、ラット胎生期の第1臼歯歯胚の培養を行い、象牙芽細胞の分化過程における熱ショック蛋白発現を検索すると共に、細胞骨格合成阻害と熱ショック蛋白との相関についても検索する予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Otsuka, Y.: "Possible role of heart shock protein(Hsp)25 in the enamel organ during amelogenesis in teh rat molar"Archives of Histology and Cytology. 64・4. 369-378 (2001)
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[Publications] Ohshima, H.: "Alteration in the expression of heat shock protein(Hsp)25-immunoreactivity in the dental pulp of rat molars following tooth replantation"Archives of Histology and Cytology. 64・4. 425-437 (2001)
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[Publications] Yamamoto, H.: "Immunocytochemical detection of superoxide dismutases(SODs) in the periodontal Ruffini endings of the rat incisor"Brain Research. 905. 232-235 (2001)
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[Publications] Ohshima, H.: "Responses of odontoblasts to cavity preparation in rat molars as demonstrated by immunocytochemistry for heat shock protein(Hsp)25"Archives of Histology and Cytology. (in press). (2001)
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[Publications] Tamura, H.: "Different distributions of immunocompetent cells in the dentogingival junction during root formation in rat molars"Journal of Periodontal Research. (in press). (2001)
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[Publications] Oshima, H.: "Expression of heat shock protein(Hsp)25-immunoreactivity in the dental pulp and enamel organ during odontogenesis in the rat molar"Connective Tissue Research. (in press). (2001)