2001 Fiscal Year Annual Research Report
新しい電解酸化水のう蝕予防に関する実験的・臨床的研究
Project/Area Number |
13672174
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
中村 康則 日本歯科大学, 新潟歯学部, 講師 (20095201)
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Keywords | 電解酸化水 / 洗口剤 / 牛歯エナメル質 / 脱灰作用 / 溶出カルシウム量 / 溶出無機リン量 |
Research Abstract |
新開発の電解酸化水装置(松下電工社製)で製造した弱酸性電解水(EOW)の洗口剤としての有用性を検討する目的で、EOWの歯エナメル質に対する脱灰の有無を市販洗口剤と比較した。被験液としてはEOW、市販洗口剤めネオステリングリーン(NG)、BUTLER ORAL RINSE D(BOR)、薬用リステリン(LS)、イソジンガーグル(IG)、および無脱灰対照液(0.9%NaCl)、有脱灰対照液(10mM HCl)の計7種とした。試料としては牛抜去前歯の歯冠中央部を1×1×0.5cmのプロツク塊に切り出し、その中央部(直径8mm)を除いて表面をマニキュアで完全に被覆したものを用いた。試料を被験液2mlを入れた試験管内に投入し、5、10、30分間の浸漬ののち、試料を取り出し直ちに水洗し、自然乾燥を行った。各浸漬液中のCaと無機Pを比色定量し、試料のエナメル質の状態を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した。 1.各種被験液のpHはHCl(2.1)、IG、LS、EOW(5.1)、NaCl、BOR、NG(6.1)の順で低かった。 2.浸漬液に溶出したCa量と無機P量は各浸漬時間でほぼNaC1<EOW≒LS≦BOR≒NG≦IG<HClの順であり、EOWとLSでは類似していた。 3.浸漬試料の5分時におけるSEM像からはBOR、LS、IGではHClに比べ軽度の脱灰が認められたが、EOW、NG、NaClでは脱灰は認められなかった。10分時および30分時の場合は5分時に比べてNaCl、BORを除き、脱灰の程度が漸次、進行するのが観察された。EOWにおける脱灰の様相はNGのそれと類似していた。 以上より、EOWのエナメル質溶解作用はLSと同様に弱く、またエナメル質脱灰作用もNGと同様に弱いことが示され、EOWは通常の洗口時間では脱灰を起こさないと判定された。
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