2003 Fiscal Year Annual Research Report
新しい電解酸化水のう蝕予防に関する実験的・臨床的研究
Project/Area Number |
13672174
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
中村 康則 日本歯科大学, 新潟歯学部, 講師 (20095201)
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Keywords | 電解酸化水 / 洗口剤 / 唾液細菌量 / プラーク付着率 / う蝕予防 / 臨床試験 / ヒト |
Research Abstract |
本研究は、動物う蝕実験においてう蝕抑制効果が確認されている新開発の電解酸化水(EOW)について、これがヒトのプラークに対して有効な洗口剤となるか否かを臨床試験を行い検討したものである。 実験方法は次の通りである。被験者は、被験歯(上顎前歯3+3)が健全な学生16名を対象とした。試験群は、生食水で洗口するCont.群(8名)とEOWで洗口するEOW群(8名)の2群とした。試験期間は4日間とし、初日の洗口開始前に被験者から非刺激混合唾液を採取し、次いで上顎の歯面清掃を行った。これ以降、被験者に対して朝食前、毎食後、就寝前に洗口を行わせ、同時に口腔内清掃を禁止した。最終日には再び唾液を採取し、次いで被験歯を歯垢染色して付着状況を診査したのち、口腔内を写真撮影した。唾液中の細菌量は唾液を適宜希釈したのち、2種類の寒天培地でそれぞれ培養後、コロニー数を計測してCFUに換算した。 1.Cont.群被験者における洗口終了後の唾液中細菌量は、洗口開始前に比べ、総細菌量、mutans streptococci量のいずれも増量傾向を示した。これに対して、EOW群での細菌量は洗口終了後において減少傾向を示した。 2.両群被験者のプラーク付着率は、O'Learyの方法ではCont.群で97%、EOW群で89%であった。他方、被験歯唇側面の写真から計測した付着面積の比率ではCont.群で43%、EOW群で29%であった。いずれの付着率においてもEOW群の被験者が低かったが、Cont.群との間には有意差は認められなかった。 3.洗口終了後のEOW群被験者の口腔内状態(粘膜・舌・歯肉等)には特に異常はみられなかった。 4.以上の成績から、EOWは、ヒトの口腔細菌に対する抗菌作用が弱く、またプラーク形成抑制作用も弱いことが示され、う蝕予防の洗口剤となり得る可能性は低いと考えられた。
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