2002 Fiscal Year Annual Research Report
Kinetic Energyの小児歯科領域への応用
Project/Area Number |
13672179
|
Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
中村 浩志 松本歯科大学, 歯学部, 助手 (00278178)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮沢 裕夫 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (90147637)
|
Keywords | 噴射切削 / 酸化アルミナ / 窩洞形成 / 乳歯 / 幼若永久歯 |
Research Abstract |
噴射切削によるエナメル質窩洞の窩縁部形態は、比較的滑らかな丸みを帯びた形態が乳歯および永久歯標本ともに観察された。しかし、乳歯エナメル質の展開角は平均60.5°(1S.D.±7.2)これに対して永久歯エナメル質の展開角は36.3°(1S.D.±11.8)と小さい値を示し、エナメル質の強度と厚さの違いによるものと考えられた。また、乳歯形成窩洞の象牙質の開放角は平均30.7°(1S.D.±10.7)で、永久歯形成窩洞の象牙質開放角は平均18.9°(1S.D.±6.3)より大きい値を示した。窩洞辺縁の窩縁斜面の展開角は、乳歯・永久歯ともほぼ等しい値を示した。 噴射切削によって形成された象牙質の窩洞壁面の表面は、比較的滑らかな形状を呈した。窩洞形態は、ほとんどが、窩洞底部に点角および線角の存在しないV字型のものとU字型であった。 今回の実験では、試料の中には、噴射切削部の一部に象牙質の存在しない遊離エナメルの構造を有するものも認められた。これはエナメル質と象牙質の硬度の違いが、噴射されたアルミナ粒子の窩洞内における噴射渦の流体と、アルミナ粒子の窩洞外への流出方向などに、起因しているものと考えられた。 切削開口部の径は27μm50μmとも試料に対する噴射角度が90°の試料に比較して、60°の方が有意に大きい値を示した。脱灰象牙質のSEM像では、脱灰時間の進行とともに切削効率の低下が確認され、形成窩洞はクレーター状を呈し、窩洞辺縁形態も同心円上のものから不均一な形態のものに、変化することが認められた。また24時間脱灰された脱灰象牙質においては、窩洞周囲に散在するアルミナ粉末も確認できた。脱灰時間の進行とともに窩洞壁面に粗造な形態が認められ噴射切削粒子による脱灰象牙質の除去が困難な傾向にあることが確認できた。また、噴射切削の象牙質にみることのできる微細な波状隆起は脱灰象牙質試料にもみられた。
|