2002 Fiscal Year Annual Research Report
トロンボモジュリンを介した好中球と歯肉上皮細胞の新たな接着機構の解明
Project/Area Number |
13672193
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
松山 孝司 鹿児島大学, 歯学部, 助手 (40253900)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
四元 幸治 鹿児島大学, 歯学部, 助手 (20295265)
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Keywords | 口腔上皮細胞 / トロンボモジュリン / 好中球 / リンパ球 / 酵素 |
Research Abstract |
本研究では、歯周炎患者の末梢組織である歯肉組織内好中球の上皮トロンボモジュリンに与える影響とリンパ球の免疫応答性を調べた。好中球の上皮に与える影響はヒト由来口腔上皮細胞KB細胞株をもちいて、好中球由来エラスターゼとカテプシンGによるトロンボモジュリンの遊離に及ぼす影響を調べた。また、末梢組織でのリンパ球の細胞密度による免疫応答性を調べ、細胞密度に必要不可欠な因子を調べた。好中球由来酵素による上皮細胞への障害程度において、カテプシンGは、トロンボモジュリンの遊離を全く誘導しなかった。しかし、エラスターゼは濃度および時間に依存的にトロンボモジュリンの遊離を誘導した。エラスターゼ20μg/mlで4時間後にプラトーに達し、24時間まで50ng/mlのトロンボモジュリン遊離濃度を維持した。10μg/mlで最大33ng/mlを示した。5μg/mlで最大5.5ng/mlを示した。コントロールは、24時間まで最大2.7ng/mlを示したことからエラスターゼは、口腔上皮細胞のトロンボモジュリンの遊離に効果的に作用していることが判明した。一方、カテプシンGは、いずれの作用濃度(5,10,20ng/ml)においても遊離濃度は3.7ng/ml以下であった。LDH活性において、酵素処理は、付着細胞に対し細胞障害を与えていないことがわかった。一方、DNA断裂においても付着細胞はアポトーシスを示さなかった。また、エラスターゼは、上皮のトロンボモジュリンmRNAを上昇させることがRT-PCR法にて判明した。以上のことよりエラスターゼが口腔上皮のトロンボモジュリン遊離および産生に大きく影響していることがわかった。一方、リンパ球細胞密度の免疫応答性に対する影響では、細胞接触のない疎な密度状態でアナジーが誘導され、IL-2により回復されることが判明した。 また、細胞接触の密な状態では、免疫応答性を維持でき、その維持にICAM-1シグナルが必要不可欠であることが判明した。
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