2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13672205
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
内山 真伸 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (00271916)
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Keywords | アート錯体 / ベンザイン / 配位環境 / オルトメタル化 |
Research Abstract |
ベンザインは,平面6員環環内に2つの2重結合と1つの3重結合を持つ特異な構造を有する.3重結合部分が,その構造的特徴から通常のπ結合とは異なる反応性および電子的挙動を示すことが古くより知られており,特に理論的な部分で興味が持たれてきた.しかしながら,実験的系統的な研究は,その重要性が認識されているにもかかわらず,その発生法に制限があり現在でも大きく後れをとっているのが現状である.特に,置換基を有するベンザインの一般合成法が切望されている.今回,亜鉛アート錯体を用いるベンザインの発生と制御について検討をおこないました.1, 2-ジハロ芳香族化合物を用いて,種々の亜鉛アート錯体を用いてTHF中-78℃にて反応を行ったところ,通常の3配位錯体では,選択的に片側のハロゲンのみがメタル化されたのに対して,"anionically"に活性化されたダイアニオン型4配位錯体では,もう一方のハロゲンが脱離し,ベンザインが得られるといった結果を得ました.この結果は,亜鉛上の配位環境によって反応(選択的メタル化反応とベンザインの発生)が制御できることを示唆しているものと考えています.
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