2001 Fiscal Year Annual Research Report
不斉アルドール反応を利用した基質遷移状態阻害剤のコンビナトリアル合成
Project/Area Number |
13672211
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
赤路 健一 大阪大学, たんぱく質研究所, 助教授 (60142296)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川上 徹 大阪大学, たんぱく質研究所, 助手 (70273711)
|
Keywords | 不斉アルドール反応 / 酵素阻害剤 / プロテアーゼ / 基質遷移状態 / ヒト白血病ウイルス / コンビナトリアル合成 / ライブラリー |
Research Abstract |
基質遷移状態概念に基づく酵素阻害剤の開発手法を,今律の課題である耐性ウイルスに対する薬剤設計や,ヒト白血病ウイルスなどの難治性疾患に対する阻害剤の設計に拡大適用するためには,固相有機合成法の確立とそのライブラリー調製への応用に関する研究が必須である.本研究ではアスパルティックプロテアーゼの基質遷移状態阻害の中心構造となるヒドロキシエチルアミン構造の不斉合成法の確立を行うことを第一の目的とし,得られた鍵中間体を原料とするコンビナトリアル合成により阻害剤ライブラリーを構築することを第二の研究目的とした.本研究では最も研究が遅れているヒト白血病ウイルスプロテアーゼに対する阻害選択性の向上に焦点を絞った. 平成13年度の研究により,鍵中間体アミノアルキルエポキシ体の合成ルートの確立に成功した.まず,基質遷移状態ミメティックに必須となる側鎖構造と水酸基を不斉アルドール反応で構築した.側鎖構造に対応する各種カルボン酸をインダノール不斉補助剤と縮合させエステルとした後,TiCl4を用いる不斉アルドール反応によりアルデヒドコンポーネントと縮合し水酸基を導入した.この際,アルデヒドコンポーネントに組み込んだ保護基を利用した立体障害の調節により反応面の区別を行った.これにより,アルドール反応で生成可能なすべての異性体の立体選択的合成ルートが確立できた.ついで,得られた各立体異性体について,加水分解反応,curtius転位反応,光延反応を行って目的の鍵中間体アミノアルキルエポキシ体へと導いた.本誘導体は,アミン成分との反応によるエポキシ環の開裂によりC末側へ,カルボキシル成分との縮合によりN末側へ延長することが容易に可能であった. 以上の研究実績をもとに,平成14年度では,鍵中間体から阻害剤ライブラリーへの合成ルートの確立ならびに阻害活性についての評価を行う予定である.
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] K.Teruya, T.Kawakami, K.Akaji, S.Aimoto: "Synthesis of [L40I, C90A, C109A]-human T-cell leukemia virus-type 1 protease"Tetrahedron Letters. (in press).
-
[Publications] T.Kawakami, K.Akaji, S.Aimoto: "Peptide bond formation mediated by 4,5-dimethoxy-2-mercaptobenzylamine after periodate oxidation of the N-terminal serine residue"Organic Letters. Vol3, No9. 1403-1405 (2001)