2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13672217
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
新藤 充 徳島大学, 薬学部, 助教授 (40226345)
|
Keywords | イノラート / 環化付加 / アルゲン / 立体選択的合成 / タンデム反応 / β-ラクトンエノラート / マイケル反応 / 多置換環状化合物 |
Research Abstract |
イノラートはケテンアニオン等価体であり、求電子剤との反応生成物も反応活性種である。この特性を利用したイノラートの連続反応を検討し以下のような成果を得ることができた。 1)タンデム型[2+2]環化付加-環開裂反応による高Z-選択的アルケン合成反応:イノラートとα位にエーテル酸素を有するケトンを反応させると高いZ選択性で四置換オレフィンを合成することができた。本反応はリチウムに対するキレーションによる立体制御と当初は考えていたが、更に詳細に反応過程を調査したところ、配位能の低いエーテル酸素によっても高い選択性が維持されることが明らかとなった。これらの実験から軌道相互作用によっても立体化学が制御されている可能性が示唆された。現在理論化学計算によりその理論的裏付けを得ようとしているところである。生成物であるZ-γ-オキシアクリル酸は酸処理することにより容易に閉環し、ブテノリドを高収率で与えた。この反応をイノラートからワンポットで行うことも可能である。 2)タンデム型[2+2]環化付加-マイケル反応による環状化合物の効率的合成:イノラートとケトンとの[2+2]環化付加で生成するβ-ラクトンエノラートは高い求核性を有する。そこで分子内にケトンとα、β-不飽和エステルを適切な位置に配置した分子をエノラートと反応させたところ、β-ラクトンエノラートが分子内マイケル反応によって更に閉環し、縮合環を与えた。これを酸処理し加熱すると脱炭酸が進行し、多置換シクロアルケンが高収率で生成した。このタンデム反応により五,六,七員環が得られる。またマイケル反応生成物はエステルエノラートであるため求核性を有する。そこで更にアルデヒドを加えたところアルドール反応が進行した。これは三連続のカスケード反応であり、複雑な環状化合物を一気に合成することができた。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] M.Shindo: "The First General Method for Z-Selecive Olefination of Silyl Ketones via Ynolate Anions Providing Multisubstituted Alkenes"Journal of the American Chemical Society. 124. 6840-6841 (2002)
-
[Publications] M.Shindo: "An ynolate-initiated tandem process giving cyclopentenones : total synthesis of cucumin E"Tetrahedron Letters. 43. 5039-5041 (2002)
-
[Publications] M.Shindo: "Anionic Inverse Electron-Demand 1,3-Dipolar Cycloaddition of Nitrones with Ynolates. Facile Stereoselective Synthesis of 5-Isoxazolidinones Leading to β-Amino Acids"Organic Letters. 4. 3119-3121 (2002)
-
[Publications] Y.Fukuda: "Diastereoselective Ring Closing Metathesis for the Construction of a Quaternary Carbon Stereogenic Center"Tetrahedron Letters. 43. 2047-2049 (2002)
-
[Publications] M.Itoh: "Apoptosis-Inducing Activity of Synthetic Intermediates of Halichlorine"Bioorganic Medicinal Chemistry Letters. 12. 2069-2072 (2002)
-
[Publications] H.Kisyuku: "Enantioselective total synthesis of (-)-heliannuol A"Chemical Communications. 350-351 (2003)
-
[Publications] M.shindo: "Synthesis of α, α-Dibromo Esters as Precursors of Ynolates"Chem. Pharm. Bull. (印刷中). (2003)