2001 Fiscal Year Annual Research Report
ニトロソエン反応を機軸とする生物活性海洋アルカロイドの合成研究
Project/Area Number |
13672232
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
青柳 榮 東京薬科大学, 薬学部, 助教授 (30212385)
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Keywords | 海洋アルカロイド / ピンナ酸類 / ハリクロリン / アシルニトロソ化合物 / エン反応 |
Research Abstract |
本研究は、生物活性海洋アルカロイドであるピンナ酸類及びハリクロリンの全合成を志向するものであるが、当該年度においては全合成の基本戦略となる1,7-ジ置換6-アザスピロ[4.5]デカンの立体選択的合成法の確立を目指した。 3-ブテン酸メチルより調製したボラン試薬と2-ヨードシクロペンテンとのクロスカップリング反応を経てN-ヒドロキシペンテニルブタナミド(ヒドロキサム酸)を合成した。このヒドロキサム酸を過ヨウ素酸塩で酸化すると、反応系内に生成したアシルニトロソ化合物のanti選択的分子内エン反応が進行し、6-アザスピロ[4.5]デカンを単一立体異性体として与えることが判明した。これによってアシルニトロソ化合物の分子内エン反応によるアザスピロ環骨格の1段階構築法を確立することができた。ここに得られたエン反応成績体より、6-アザスピロ[4.5]デカン骨格のC-7位へのヒドロキシエチル側鎖の立体選択的導入を検討した。その結果、アセチリドによる求核付加反応を経てピンナ酸類及びハリクロリンの相対配置に一致する立体選択性でヒドロキシエチル基の導入を達成することができた。次に、6-アザスピロ[4.5]デカンのC-1位への1-ヒドロキシ-2-プロピル基の立体選択的導入は、官能基変換により得られた環状ケトンに対するGrignard反応及び環状アルケンの接触水素化を経て達成され、ピンナ酸類及びハリクロリンの相対立体配置に一致する立体構造を備えた基本骨格構造を立体選択的に構築することができた。 現在、さらに次の段階として、ここに得られた鍵中間体のC-1位及びC-7位の官能基化されたアルキル側鎖を伸長・修飾し、ピンナ酸類及びハリクロリンの全合成さらにはその不斉合成を行う予定である。
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