2002 Fiscal Year Annual Research Report
ニトロソエン反応を機軸とする生物活性海洋アルカロイドの合成研究
Project/Area Number |
13672232
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy & Life Science |
Principal Investigator |
青柳 榮 東京薬科大学, 薬学部, 助教授 (30212385)
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Keywords | 海洋アルカロイド / ピンナ酸 / ハリクロリン / アシルニトロソ化合物 / エン反応 |
Research Abstract |
クロイソカイメン及びイワクワハゴロモガイからそれぞれ単離された海洋アルカロイドであるハリクロリン及びピンナ酸は、それぞれ血管内皮細胞接着分子(VCAM-1)の産生阻害活性及び細胞質ホスホリパーゼA_2(cPLA_2)阻害活性を示すことが報告されていることから、両アルカロイドは新薬開発のためのリード化合物となりうることが期待されている。本研究は、アシルニトロソ化合物の分子内エン反応を機軸とするハリクロリン及びピンナ酸の全合成を目的として行われた。 既に、2-ヨードシクロペンテンより4工程を経て合成した分子内にジエンを有するヒドロキサム酸を用い、過ヨウ素酸酸化により反応系内に生成するアシルニトロソ化合物の分子内エン反応を検討したところ、エン反応がほぼ完全な面選択性を伴って進行し、ハリクロリン及びピンナ酸の共通基本骨格である6-アザスピロ[4.5]デカン誘導体が高収率で得られることを見いだしている。当該年度においては、ここに得られたアシルニトロソエン反応成績体よりアルケンの接触水素化及び水酸基保護の後、C-7位へのアセチリドの立体選択的導入とヒドロホウ素化を経て所望の立体配置を持つを7-シロキシエチル-6-アザスピロ[4.5]デカンを合成した。次にさらに数工程を経て、上記7-シロキシエチル-6-アザスピロ[4.5]デカンのC-1位へのカルボキシメチル基の導入、N-O結合開裂による脱N-ベンジルオキシ化を経て三環性ラクタムを形成の後、立体選択的な接触水素化によりハリクロリン及びピンナ酸に対応する相対立体配置を有する重要合成中間体である(4R^*,7aR^*,10aS^*)-4-シロキシエチルオクタヒドロシクロペンタ[i]インドリジン-6-オンを合成することができた。
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