2001 Fiscal Year Annual Research Report
水を溶媒とした無保護アミノ酸の反応の開発と麦角アルカロイド類の短行程合成への応用
Project/Area Number |
13672237
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
横山 祐作 東邦大学, 薬学部, 助教授 (10095325)
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Keywords | Heck反応 / アミノ酸 / パラジウム触媒 / ラセミ化 / アリル化 / ビニル化 / 水溶液 / トリプトファン |
Research Abstract |
1無保護アミノ酸の水を溶媒とした実用的な合成反応の開発を目指し,アミノ酸類の安定性およびラセミ化が水溶液と有機溶媒でどのように異なるかを検討した.その結果,無保護アミノ酸類は,塩基性あるいは酸性条件下で加熱するとDMF,DMSO,エチレングリコール等の極性有機溶媒では分解すると同時に回収されたアミノ酸も大きくラセミ化していたが,水溶液中では,ラセミ化,分解とも抑制されることが明らかになった(J.Chem.Soc.,Perkin Translation 1,2001,1431-1434).無保護アミノ酸を用いた反応を開発する上では,水を溶媒として用いた方が溶解度点から望ましいが,アミノ酸のような水溶性生体成分が,水を溶媒とした場合に安定であるという知見は,合成上の観点からばかりでなく生体内反応との関係からも興味が持たれる. 2我々は,パラジウム触媒存在下,無保護アミノ酸である4-BromotryptophanとAllylalcoholとの反応において塩基性条件下では4位へのビニル化反応(Heck反応)が,中性条件ではN-Allyl化が進行することを既に見いだしている[Tetrahedron Lett.,40,7803-7806(1999)].この様な選択性の発現がアミノ基を有する芳香族ブロマイドでも観察されるかどうかを検討した.その結果,各種ブロモアニリン類,ブロモベンジルアミン等と種々のAllylalcoholとの反応において,同様な選択性の発現が見られた(論文作成中).この様な選択性は有機溶媒を用いた場合には観察されず,反応溶媒としての水の有用性が示された.さらに,反応性の高い官能基が存在しても水溶液の液性を変えるだけで反応部位をコントロールできた事は,保護基を用いない合成反応の開発の可能性を示した点で,大きな意義があるものと考えている.
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[Publications] Yuusaku Yokoyama: "Does Water Suppress the Racemization and Decomposition of Amino Acids?"J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1. 1431-1434 (2001)
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[Publications] Yuusaku Yokoyama: "N-Boc-4-Bromo-N-methyl-1-tosyl-D-tryptophan Methyl Ester,A Key Intermediate in the Synthesis of Optically Active……"Heterocycles. 55(4). 653-659 (2001)
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[Publications] Yuusaku Yokoyama: "A Study for Palladium-Catalyzed Chemoselective Vinylation at C-3 Position of 4-Bromo-1-Tosylindole"Heterocycles. 56. 525-529 (2002)