2002 Fiscal Year Annual Research Report
ヨウ化サマリウムによる還元的閉環反応を用いる二環性化合物の一般的合成法
Project/Area Number |
13672245
|
Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
通 元夫 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (90163956)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 勝幸 徳島文理大学, 薬学部, 助手 (80299338)
宗野 真和 徳島文理大学, 薬学部, 助手 (10221342)
|
Keywords | ヨウ化サマリウム / ヒドリンダン / ペルヒドロナフタレノン / ラジカル反応 / 環化反応 / シクロヘキセノン / シクロペンテノン / ペルヒドロアズレノン |
Research Abstract |
本年はcyclohexenone上にメチル基のあるものとないもの,側鎖がアルデヒドとメチルケトンの組合せで4種合成し,これらすべてについてヨウ化サマリウムを用いる還元的閉環反応を種々の条件下に行った.添加物を何も加えない系では水酸基と核間の置換基が互いにcisとなる生成物が優先的に生成し,プロトンソースを加えた場合には逆にtransとなる傾向が見られた.このことは昨年度検討したhydrindanoneの系と同様であった.しかしながらds体が得られる傾向が強く,全く逆転してtrans体が得られるという条件を設定することはできなかった.これらの結果から反応機構を考察した. 次に7員環と5員環が縮環したperhydroazulenoneを得る系について検討した.考えられる4っのジアステレオマーが生成しそれぞれの構造を詳細に検討して立体化学を決定した.添加物を何も加えない系ではこれまでとは違い水酸基と核間メチル基が互いにtransとなった.プロトンソースとしてメタノールを加えてもこの傾向はあまり変化なく,HMPAを加えたところ今度はcis体が多く生成する結果となった.これは側鎖の自由度が増すためサマリウムの配意した化学種が核間メチル基とは反発し,逆に環の内側に入ることによりtrans型になるものと考えられる. その他に5員環に対して5員環を形成する基質,6員環に対して5員環を形成する基質,5員環に対して6員環を形成する基質(昨年度とは異なりジメチル基のない系)についても検討し,Baldwin則で5-Endo-Trigに属する系はやはり反応が起こりにくいことを確認した. 二つの環の縮環の立体化学は塩基によって異性化できると考えれば,本反応による二環性化合物の合成法は一般的に実現可能であることが明らかになった.
|