2002 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト由来肝細胞培養法を用いた天然C型肝炎治療薬へのアプローチ
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13672246
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
金城 順英 福岡大学, 薬学部, 助教授 (00161612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長尾 常敦 福岡大学, 薬学部, 助手 (90180455)
岡部 光 福岡大学, 薬学部, 教授 (10078678)
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Keywords | ヒト由来肝細胞 / HepG2 / 肝障害モデル / tert-Butyl hydroperoxide / ウコン / マリアアザミ / オウゴン / カテキン |
Research Abstract |
平成13年度に確立したヒト由来肝細胞(HepG2)を用いた肝障害モデルを用い,伝承的に肝疾患に用いられる天然薬物のスクリーニングを行い,以下の知見を得た. (1)ウコンおよびハルウコンの肝保護物質として,3種のクルクミノイド(Curcumin I〜III)を単離した.これらのうち,curcumin I (=curcumin)の活性が最も強く,次にcurcumin I, IIIの順であった.メトキシ基が肝保護作用発現に大きく関与していることが判明した. (2)マリアアザミ種子エキスは,全般に弱いながらも活性を示した.肝保護成分とされる2種のフラボノリグナン(silybin, silychristin)の肝保護作用測定を行ったが,両者ともあまり強くはなかった. (3)オウゴンよりフラボノイド,フェニエタノイドを肝保護物質として単離した.そして,フラボン配糖体に活性は全く認められないことや,フラボンアグリコンA環上のピロガロール基や,C環上の還元状態,置換基が活性発現に大きく関与することなどを見出した.フェニルエタノイドの活性は弱いものの,カテコール基のメチル化は活性を消失させることも判明した. (4)カテキン類測定の結果,B環上のピロガロール基は活性上昇にあまり関与しないばかりか,やや減弱させる傾向にある一方,3位に結合するガロイル基は活性を大幅に上昇させることが明らかとなった. (5)没食子酸そのものにはあまり活性が認められないが,そのメチルエステル体は非常に強い活性を示すことが明らかとなり,活性発現には遊離カルボキシル基の保護が必要と推定された.没食子酸エステル配糖体も活性を示し,かつガロイル基の増加とともに活性の上昇も認められた.しかし,没食子酸ポリマー(四量体)には,ガロイル基の増加による活性の上昇は認められなかった. 以上の研究を通じ,ヒト由来肝細胞(HepG2)を用いた肝障害モデルは,伝承的に肝疾患に用いられる天然薬物のスクリーニングに有効であり,かつ天然C型肝炎治療薬開発にも有用であることを明らかとした.
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