2001 Fiscal Year Annual Research Report
新規な分子認識モデュールとしての抗体模倣ペプチド修飾シクロデキストリンの創製
Project/Area Number |
13672249
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小林 典裕 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (90205477)
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Keywords | 分子認識モデュール / シクロデキストリン / 抗体 / 相補性決定部 / 抗体模倣ペプチド / CD-CDR |
Research Abstract |
抗体は診断試薬として必須であるばかりか、治療薬としてヒト体内への投与を前提とする応用も種々試みられている。しかし、天然型の抗体は高分子量のタンパクであるため、組織細部への浸透性に乏しいうえクリアランスが小さい点が問題となる。また、構造決定も困難で、分子認識機構の研究には不向きである。そこで、シクロデキストリン(CD)の水酸基を抗体の相補性決定部(CDR)に相当する低分子量の合成ペプチドで修飾したハイブリッド型の分子認識モデュール(CD-CDR)の創製を企てた。モデルゲスト分子として、11-デオキシコルチゾール(11-DC)を取り上げ、CD部分としては11-DCの包接能に優れるβ-CDを選択した。その1級水酸基をモノトシル化、アジ化を経てアミノ基に変換した。ついで異反応性二価試薬を用いてマレイミド基を導入し、特異的な抗11-DCモノクローナル抗体H鎖のCDR3のアミノ酸配列を含む合成ペプチド(Biotin-GGGNVRVYAMDYGGC)を、そのC末端システインのSH基を利用して結合させた。反応粗生成物を分取HPLCを含む多段階の逆相クロマトグラフイーで精製し、MALDI-TOFMSで構造を確認した。本CD-CDRのトリチウム標識11-DCに対する反応性を調べた結果、β-CD(Ka=2.9x10^3M^-1)に比べ5倍程度大きな親和力を獲得したものと推測された。CD-CDRは全化学合成が可能なシンプルな構造でありながら(MW<5,000)、ペプチド部分にコンビナトリアルケミストリーの手法を応用することで、天然の抗体に匹敵する分子認識能を示しうるものと期待される。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Norihiro Kobayashi: "Noncompetitive immunoassays for small molecules with high sensitivity and specificity"Advances in Clinical Chemistry. 36. 139-170 (2001)
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[Publications] 後藤 順一: "低分子生理活性物質に対する抗体の分子認識とイムノアッセイの高感度化"TDM研究. 18. 77-78 (2001)
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[Publications] Norihiro Kobayashi: "A monoclonal antibody-based enzyme-linked immunosorbent assay of glycolithocholic acid sulfate in human urine for liver function test"Steroids. (in press).