2002 Fiscal Year Annual Research Report
脳内の神経細胞位置決定分子リーリンの会合体形成機構の解明と神経疾患の治療への応用
Project/Area Number |
13672318
|
Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
楯 直子 日本獣医畜産大学, 獣医畜産学部, 助教授 (00201955)
|
Keywords | 神経細胞 / リーリン / 構造 / 会合体 / 円偏光二色性 |
Research Abstract |
神経細胞はネットワークを形成して高次機能を発揮している。その基本構造は神経細胞の規則的な層構造よりなっている。秩序だった層構造形成を制御している分子として蛋白質分子リーリンが見いだされたが、その神経細胞への作用機構は不明である。そこでリーリンの物性や立体構造の解析を行うことにより、構造化学の立場から、リーリンの機能の分子機構を解明していく研究に取り組んだ。昨年度までの研究により、リーリンの機能阻害抗体CR-50のエピトープ部位を介して、リーリンは会合体を形成して機能を発揮していることを明らかにしたので、このエピトープ部位の構造について今年度は解析した。まず、大腸菌を用いたリーリンのCR-50エピトープの大量発現系を構築し、アフィニテイカラムクロマトグラフィーによりCR-50エピトープ蛋白質を分離、精製した。そして円偏光二色性分光法により、2次構造を解析した。その結果、生理的条件下ではCR-50エピトープはα-helix 20%,β-sheet 40%から成る規則構造をとっていることが分かった。塩濃度を0.15Mから1Mまで増大させると規則構造を壊れてランダムになり、会合体も解離した。またpHを7.4から11まで増大させると同様に規則構造が壊れて、会合体も形成できなくなった。以上より、生理的条件下においてCR-50エピトープはα-helix 20%,β-sheet 40%という規則構造をとることにより、会合体を形成することができ、機能を発揮するに至ることが明らかになった。さらに核磁気共鳴分光法を用いたリーリン蛋白質の構造、物性の解析を進めていくにあたり、蛋白質の主鎖を構成するアミド^<15>N核スピンの化学シフトの異方性に関する情報を得るための測定技術の研究を開始した。
|