2001 Fiscal Year Annual Research Report
ケトン体代謝調節に基づく内分泌攪乱化学物貭のリスク評価に関する薬学的研究
Project/Area Number |
13672352
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
福井 哲也 星薬科大学, 薬学部, 教授 (90111971)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 正博 星薬科大学, 薬学部, 助手 (80328921)
高橋 典子 星薬科大学, 薬学部, 助教授 (50277696)
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Keywords | ケトレ体 / アセトアセチルCoA / ビスフェノール |
Research Abstract |
本年度はケトン体利用酵素であるアセトアセチル-CoA(AA-CoA)合成酵素の発現動態を中心に以下について検討をを行った。 1)AA-CoA合成酵素遺伝子の単離:ラット肝臓から決定したアミノ酸配列を基にラット、ヒトの遺伝子のクローニングを試みた。得られたラット及びヒトのAA-CoA合成酵素遺伝子はともに2,016bpで672のアミノ酸をコードしていた。 2)AA-CoA合成酵素遺伝子の発現臓器の検討:本酵素はラットにおいて、雄では脳、腎臓、肝臓、心臓の順に、雌では脳、肝臓、腎臓、心臓の順に多く発現しており、肝臓では雄よりも雌に多く発現していた。さらにヒトにおいては、腎臓、脳、心臓、骨格筋、胎盤に多く発現していた。本酵素がラット及びヒトの脳において比較的強い発現を示したため、ヒトの脳における本酵素の発現分布を調べたところ、大脳皮質及び海馬に多く発現していた。ヒトの脳において、記憶機能に関与している海馬に高発現していることから、本酵素がこれらの機能において重要な役割を果たしている可能性が示唆された。 3)性ステロイドホルモンおよびビスフェノールA(BPA)によるAA-CoA合成酵素の変動:本酵素はコレステロール、ステロイド合成に関与する可能性が示唆されており、ステロイドホルモン投与による本酵素の活性の変動について検討した。本酵素の活性はステロイドホルモン投与により減少した。このことから本酵素はステロイドにより調節されている可能性が示唆された。また内分泌撹乱作用があるといわれているBPAの本酵素に対する影響について検討したところ、BPA投与によりラットの本酵素の活性は減少し、またBPA処理した培養細胞において、本酵素遺伝子の発現は減少した。しかし、エストロゲンレセプター遺伝子の発現していない細胞ではBPAによって本酵素遺伝子の発現は影響を受けなかったことから、BPAによる本酵素の活性及び発現の減少にエストロゲンレセプターが関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] K.Tamagawa et al.: "Antitumor Efficacy in vitro and in vivo of Falconensones, a new type of polyene"Clin. Cancer Res.. 7(11). 3551-3558 (2001)
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[Publications] S.Watanabe et al.: "Contribution of glutathione peroxidase and nitric oxidase to potassium bromate-induced oxidative stress and kidney damage in mice"J. Health Science. 47(6). 565-570 (2001)
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[Publications] M.Wada et al.: "Formation of retinoyl-CoA in rat tissues"J. Biochem.. 457-463 (2001)