2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13672358
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
浅井 篤 京都大学, 医学研究科, 助教授 (80283612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤林 朗 京都大学, 医学研究科, 教授 (70221710)
福井 次矢 京都大学, 医学研究科, 教授 (50208930)
西垣 悦代 和歌山県立医科大学, 教養部, 助教授 (70156058)
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Keywords | 医療不信 / 信頼 / 医師・患者関係 / 質的研究 / グラウンデッド・セオリー / 生命倫理 / 医療倫理 |
Research Abstract |
平成13年12月〜平成14年11月の期間に、合計25名の一般市民参加者(日常的に医療を受けている人々)に対して半構成的個人インタビューを行った。参加者の平均年齢は54歳(42〜68才)で、女性が54%を占めた。参加者の92%は医療機関に定期的に通院中、68%が入院経験を有していた。25名の参力者に対して行われたインタビューの総時間は1782分で、平均71分(37〜119分)であった。逐語録はA4用紙で586ページとなった。25名の逐語録から関連する部分を抜書きし、コード化、カテゴリー化を行った。今回の質的研究では、様々な因子が医療を受ける人々の医師に対する信頼・不信に影響を及ぼしていることが明らかになった。抽出された医療における信頼と不信に関わるカテゴリーとサブカテゴリーはそれぞれ、(1)医学的能力:医学体験、伝聞、医師の特性による評価、(2)適切対応:妥当・不当、接し方、説明と納得、限界性、(3)情:アプリオリ、義理、情の表出、人格・人間性、斟酌・共感、心理的ケア、疎通性であった。今までわが国で言及されてきた十分な説明、医療の質と好ましい結果、医師の適切な態渡などの他にも多くの影響因子が存在し、それぞれが相互に複雑に絡み合って医師患者関係における信頼・不信を形成していると考えられた。海外での研究と比較すると、文化圏の違いにかかわらず共通する部分と、わが国に独特な部分がある可能性も示唆された。特に「情」に関する部分や「信頼せざるを得ない」という心情的な部分、様々な医師患者関係を希望している点など独特な部分があった。また、医療機関の体制や医療制度の問題点に起因する医療不信もあることが示唆された。今後も信頼できる医療専門職と医療のあり方を模索する必要がある。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Asai, et al.: "Focus Group Interviews Examining Attitudes towards Medical Research Among the Japanese"Biothics. (in press). (2003)
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[Publications] Asai, et al.: "Attitudes of the Japanese public and doctors towards use of archived information and samples without informed consent"BMC Medical Ethics. 3・1. (2002)
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[Publications] 浅井 他: "医療倫理"勁草書房. 296 (2002)