2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13672367
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
鈴木 荘太郎 東邦大学, 医学部, 教授 (30102841)
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Keywords | 消化器内視鏡検査 / クリニカルパス / 合併症 / 安全性 / 前処置 / 静脈鎮静法 |
Research Abstract |
消化器内視鏡は診断法として臨床応用され、消化器がんの早期発見に貢献してきた。1960年代より治療法として研究開発が活発となり、近年では早期がんの内視鏡治療が一般化してきた。しかし、専門性と高度の技能が求められ、患者には浸襲のある治療法でもある。最近の内視鏡治療に関する医療事故の多発は社会的にも問題視され、第三者機構による医療安全管理体制が整備されつつある。 本研究では消化器内視鏡におけるクリティカルパス(クリニカルパス)の検討を目的としてきたが、従来からクリティカルパスの目的とされてきた「診療の経過の基準化」、「平均在院日数の減少」、「医療の効率化」、「医療職相互間の理解」などより、根本的な目的は医療の「安全性」、「質の保証」、「情報の透明性」などであることを検討してきた。 本年度の成果として、(1)クリティカルパスとリスクマネージメントの相互に関与する最近の文献検索を実施し、リスクマネージメントに関連する220件の論文を抽出したが、クリティカルパスとの相互関係を言及した論文は5編のみであった。クリティカルパスに関する論文の多くは、平均在院日数の減少効果を取上げていたが、良質で高度の専門性を補完するには、十分な医療資源の確保と余裕のある診療期間が必要であり、入院期間を短縮する事より、クリティカルパスの根本的な目的、並びに客観的な方法論に関する基礎的研究が必要であると考えられた。 (2)クリティカルパスと安全管理に関する検討に関しては、第66回日本消化器内視鏡学会学術総会ワークショップ「症例から学ぶ消化器内視鏡検査・治療中の工夫」及び、第17回日本消化器内視鏡学会九州セミナーの特別講演「消化器内視鏡におけるリスクマネージメント」などで発言の機会があり、消化器内視鏡の診療におけるリスクマネージメントとクリティカルパスに関する質疑を交わした。 今年度の成果としては、医療の安全管理を中心にして、診療におけるクリティカルパスを作成することが、現在求められている医療の質の確保にも有益であるとの理解が得られてきた。関連論文として、安全管理<リスクマネージメント-医療事故防止、事故後の対策>,Medicina.40(12):38-42.2004.1.が掲載された。なお、前年度から継続している「消化器内視鏡の前投薬の有効性」に関する論文の投稿は、学術性に関して学会誌の編集委員会と見解の相違があり、投稿に至っておらず、来年度の目的として継続する予定である。
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